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フラワー・ストーリー‐本編 access_time

フラワー・ストーリー 第8章

 竜の部屋をいろいろ探し回っていた私たちは、〈地底地図〉と書かれた地図を見つけた。
 彗星の滝の最深部はもちろん、地底のあらゆる地下洞窟のつながりが記されている。
「竜が作ったのかしら?これ……」
「たぶん、地球人が持ってきて、殺されてそのままになったんじゃない?」
 まあ、どっちでもいい。
 とにかく、この地図を見て、何か情報を掴みたい。
 そう思って2人で地図を見ていたら、美羽がある事を発見した。
「この彗星の滝、地下通路になってる!」
「え?」
「だから、ここは地下通路になってるの。ここを進んでいったら、小さな空洞があって……」
 その先には、「地底の湖」と呼ばれる場所がある。そう、六魔境の一つで、行く方法が限られている、謎めいた魔境だった。
 もしそこに、回り道せずにここから進めるなら、とてもラッキーだ。
 案の定、部屋をいろいろ探すと、岩で隠されている小さな穴を発見した。
 人が一人、かろうじて入れるくらいのスペースだったが、私たちは急いで中へ入っていった。
 地球人が花びらを狙っている事を知った以上、一時もムダにできない、そんな思いがあったからだ。

 どんどん突き進んでいくと、だんだん明かりが失われていった。
 真っ暗になってしまったので、仕方なく私たちはペンライトを点けた。
 できれば、電池が消耗するうえ、反対側から来る相手に一発で見つかってしまうので、使いたくなかったんだけど……。
 とにかく、なるべく急いでこの暗闇を抜けようとしていたので、私たちは極度の緊張感の中で、自然と小走りになっていた。
 その音は少しずつ、でも確実に洞窟内に反響していた。

 やっと光が差し込み、薄暗がりになって、私たちはペンライトを消した。
 ホッとして気が緩んだ私たちは、つい何も考えずに先へと進んだ。
 それが、命取りとなった。
「あとどのくらいかかるかな?地底の湖まで」
「さあ?あと、半月くら──」
 その瞬間──目の前が真っ暗になった。
 私たちは、落とし穴に落ちていた。

「いたた……ここはどこなの?」
 私が呟いた。
「わかんない……」
 どうやら美羽もいるみたいで、安心した。
 辺りは真っ暗で、上から差してくる光もわずかだったので、周りに誰がいるかわからなかったのだ。
 とりあえず、辺りを手探りであさってみる。
 しかし、出口やはしごは見つからなかった。
「でも、この穴、人工的なものじゃないだろうから、突起とかがあるんじゃ……」
「そうだよね。だったら、何とか登ろうよ」
 前も崖を登った事はあるし、問題は無いはず。
 そう思って壁をまさぐってみるが、何とその壁は完全に平らにされていた。
「この穴、やっぱり人の手が加えられているみたいね」
 何とか脱出方法を考えようとした私だったが、なかなか方法が浮かばない。
 助かる見込みはないの?
「誰でもいいから、助けて……」
 美羽が呟いた。
「助けてあげよっか?」
「え!?」
 私はとてもびっくりした。
 暗くてよくわからなかったが、なんとこの穴の中には、もう一人いたのだ。
 声からすると、その人は女だった。しかし、油断はできない。
「誰なの?」
 そういって、私はポケットから短剣を取り出そうとした。
 しかし、短剣は無かった。
「あれ??」
「あ、短剣は危ないから預かったよ」
「危ない!?持っていない方がよっぽど……」
「ここはすでに地球人に占拠されてるんだよ?ナイフなんかもっていたら、すぐに捕まるんだけど」
 その言葉に、私は衝撃を受けた。
「ここまで地球人は侵略してきてるの?」
「当然でしょ。そもそも、彗星の滝にだって、地球人はあんたたちと違ってこっち側から来たんだから」
 この人、私たちが彗星の滝から来た事を知ってる……。
「じゃあ、何であなたはここにいるの?」
 私はそう聞いてみたが、あっけなく跳ね返された。
「それは、こっちのセリフね」
 確かに納得したが、まだ答える事はできない。
 もしこの人が敵だったら、私たちが地球人を倒そうとしている、とわかってしまうからだ。
 ちなみに、地球人とアーチ人はよく似ているため、少し話したくらいでは区別がつかないのが現状だ。
「あなたは誰なの?敵か味方かもわからないのに、教えられないわよ……」
「まあ、確かにそうよね。ここで名乗ったりしたら、逆にあんたたちを信用しなかったと思うよ。でも……、少しなら信用してあげる」
 そういって、この人は、何も無いはずの穴の中から入り口の狭い穴を開いた。
「この穴を作ったのは、あたしだから」
 呆気に取られている私たちを見て、この人はくすりと笑っているようだった。

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