真っ白なしずく access_time

真っ白なしずく #3

「いいだろう。ただし、簡潔にな」 「無理に決まってるでしょう!」  私は思わず叫んでいた。 「あなたは誰なんですか! というかここどこですか! で、さっきの超次元バトルは一体何だったんですか! さらっと<魔法学会(アカデミー)>だの<象徴魔法>だの<魔法領域>だの、意味不明な単語ばっかり使って! 意味を説明してくださいよ!」 「…………落ち着け」 「この状況で落ち着いてなどいられるかー!!」  ほとんど絶叫に近かった。 「わかったわかった、一つ一つ説明してやろう。  ……だが、その前にやる事がある」  そういうと、青マントは突然私を抱きかかえた。 「は? ちょっとあんた、突然何を……」 「お前を支部に連れて行く。説明は着いてからだ」 「ちょっ、待ちなさいよ!  この状況放置して連れていくって、単なる拉致でしょ!?」 「ああ。そうだな」 「軽くあしらうなー!!」  ちなみに、人はこれを、お姫様だっこと謂う。    小4の時からここに住んでいるから、この公園には何百回も来ている。  ……にも関わらず、私の目に今映っているのは、全く見覚えのない景色だった。  見た事のない森を、飛ぶように突き進む青マントと、抱きかかえられている私。  ……というか、本当に飛んでないですか!? 「ああ。飛んでるな」  男の足はほとんど地面につかない。  10メートル毎に地面を蹴っているから、厳密にはジャンプなんだけど、気分は完全に飛行中だ。 「ねえ、いつになったら」 「もう着いたぞ」  そう言って男は私を地面に下ろした。  目の前には、堂々と巨大な建物があった。  こんなものをどうやって公園の中に隠してあったんだろう?  グーグルアースを使えば1分で見つけられる自信がある。 「一人で大丈夫か?」 「私は乳幼児か!」  大声をあげながら扉を勢いよく開けた。  中に見えたのは細長い通路で、山の中を進むトンネルみたいなつくりだった。両側の壁にランプがついている。  しかし、そんな事を考える余裕はほとんどなかった。なぜなら、 「うわあっ!」  中から突風が吹いてきて、私は吹き飛ばされたからだ。  強いというか、すでに壁が迫っているような感覚。  前に進むどころか立ち止まるのも不可能だ。  宙を舞って吹き飛ばされかけた私の腕を、青マントが強く掴んだ。  予想通りのゴツゴツした手。温かみはなく、まるで……。 「……って、何であんたは平気なのよ!」 「慣れだ」 「そんな理由!?」  男は平気な顔で突風の中を突き進んでいく。  鯉のぼりみたいにはためく私の手を掴みっぱなしで。    そのまま2分くらい進み続けると、ピタリと風が止んだ。 「……どうなってるの? 扇風機みたいなものもないのに……」 「魔法だ」  青マントがあっさりと私の独り言的悩みを解決する。 「あ、そういえばあなたの名前は?」 「……答える必要はない」 「何でよ!」 「着いたからだ」 「は?」  青マントは無言で前の方を指差した。  立ち止まってそちらに目を向けると、青一色に塗られた扉が出現していた。  さっきまではほとんど空を飛んでいたため、全く気づかなかった。 「……何を止まっている。  ほら、入るぞ」 「ええ!? 入るの!?」 「当たり前だろう。そのために連れてきたのだからな」 「でも、明らかにこの扉の奥から『立入禁止です』っていうオーラを感じるんですけど……」 「ああ。事前に連絡してあるからな。  私とお前と、支部長(エリアチーフ)以外は絶対に立入禁止となっている」 「だから何で私が含まれてるの!?  魔法のこと何も知らないのに。まずは説明が先じゃ……」 「説明はしてやるさ。……この中でな」  青マントは扉を開けて部屋の中に入ると、私を強引に引っ張りこんだ。 

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