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真っ白なしずく #6

「でも、どうやって行くんですか?」  姿現しでも使うのかと思っていたのだが、道中に話すという事は、それなりに時間がかかるのだろう。  とすれば、やっぱり魔法っぽく……箒とか? 「そうねぇ……」  仙道さんは口をとがらせて少し考え、不意に顔を明るくした。 「あ、そうだっ!」  そう言って、トントンと私の肩をたたいた。  すると、 「うわあっ!?」  突然視界が暗転した。  暗転というか、渦巻に巻き込まれるように回転する。  まるで旅の扉でも使ったみたいだ。  なので案の定、すぐに別の景色がだんだんはっきり見えてきた。  どうやら、どこかの庭園の中のようだ。周りが花壇で彩られている。 「着いたわよ」 「ええっ!?」  そりゃあワープとか、そういうのを期待していなかったと言えば嘘になる。  けど、こんな瞬時に移動できるものなの!? 「だから瞬間移動って言うんじゃないかしら」 「ああ、確かに……って心読まれた!?」  さすが魔法! チートすぎる!! 「いや、だって雫ちゃん普通に喋ってるし。独り言に答えただけだし」  …………。 「さて、行くわよ」 「どこへですか?」 「会議室よ」  そう言いながら、仙道さんは花の間の道を歩きだした。置いていかれないように私も急ぐ。 「むしろここはどこですか?」 「メルクリウス魔法学会(アカデミー)の本拠地、『知識の孤島(ブレイン・アイランド)』よ」 「ブレインアイランド?」 「場所は……伊豆諸島の近く、って言えばわかるかしら」 「って、見つからないんですか? 普通の人に」 「だって、あなたの街の公園の中の基地も見つかってないでしょ?」 「それは、そうですけど……」  どうやら私が知らなかっただけで、魔法的な世界は意外とどこにでもあるみたいだ。 「そういえば、あの青マントは……」 「青マントって……ああ、あいつね。  アレは支部に置いてきたわ。  それと、青マントって呼ぶのはやめた方がいいかもしれないわよ?」 「どうしてですか?」  名前も教えてもらえなかったので、あのままで統一しようと思っていたんだけど……。 「あのマントはメルクリウス魔法学会の制服みたいなものだからよ。  青はメルクリウスの象徴色だから、その色のマントやローブで統一するのが一種のならわしみたいになってるのよ。  まあ、ぶっちゃけダサいから私みたいに他の魔法学会の人と会ったりするような人でない限り着ないけど」  要するに、魔法の世界での正装みたいなものだろうか。 「……って、象徴色って何ですか?」  一語一語丁寧に説明してもらわないと、どんどん理解できなくなりそうだ。 「ああ……そういえば属性神の話もまだだったわね。  簡単に言うと、『属性神に対応する、その神の力をより引き出せる色』ってとこかしら」 「……???」  全然簡単じゃない。 「といっても、実際にはメルクリウスが青っていう決まりはないんだけどね。  このテルス魔法神教が生まれた当初は、全員が全ての神から力をもらい、全ての力を使えた。  ところが、時が流れるにつれ、より強い力を求めた者たちは、『ある1体の神だけを信仰することで、その神の力をさらに強く使えるのではないか』と考えた。  その結果生まれたのが特定の神を属性神とした派閥……現在の魔法学会よ」 「でも、それと色に何の関係が?」 「根本的な考え方は同じね。  メルクリウスの力をより引き出すために、メルクリウスの魔法に特化した者が生まれた。  なら、逆に、メルクリウスの力を使える環境をある一部に特化することで、その環境でさらに強い力を発揮できる」 「というと?」 「つまり、『メルクリウスは青を司る』というルールを決める事で、青色の周囲においてその力は増幅する」 「そんなこと、本当にできるんですか?」 「そう言われても、実際できちゃうから仕方ないわね。  だから現在は1人につき1属性、というルールが確立してるわ。なぜなら、その方が一つの属性に稀にいくつかの属性を同時に使える猛者もいるけど」 「へえ……」 「ちなみに私はメルクリウスとウェヌスの2属性が使えるわ」 「へえ……ええっ!? 仙道さんがその猛者だったんですか!?」  私はかなり驚いたが、仙道さんはさらっと答えた。 「というか、この魔法学会自体が2属性持ちだからね」  ……………………。 「はい?」 「だから、この『テルス魔法神教メルクリウス・アカデミー』は、主属性神(メインフォース)にメルクリウス、副属性神(サブフォース)にウェヌスを掲げる魔法学会なのよ」  ……話が全くわからないんですけど……。

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