フラワー・ストーリー 第34章
私たちは、魔の火山を降りてすぐに、めぐみと再会を誓って別れた。
そして、地下通路を突き進んでいる途中。
イバサリ近くの穴と同じ、地球人には見えない技術を利用しているため、本当に安全らしく、全く誰にも会わずに進んでいけていた。
そして、ついに星くず草原に着いた。
「……あれ?」
草原の中心にある、星がとてもきれいに見える穴に花びらがある。
そのはずだった。
この魔境は、他の魔境に比べて格段に安全だと言われていたのに……。
「ない!?」
美羽がそう叫んだ。
確かに、花びらが置いてありそうな台はある。
しかし、花びらはなかった。
その時、後ろから声がした。
「そりゃ、ないだろうな」
それは、二度と会えないと思っていた、ある人だった。
「夢人!!」
私も美羽も唖然としていた。
夢人は、地球人に撃墜されて死んだと思っていたからだ。
「生きてたの!?」
「え?ぼくが、あんなんでしぬわけないじゃないか。
それより、ここには花びらはないぞ?
地球人が、持っていったからな」
突然の衝撃発言に、美羽が一瞬の間をおいて聞き返した。
「……どういうこと!?」
「だから、言った通りの事だよ。
地球人が花びらを集めてるのは、知ってるだろ?
何がしたいかはわからないけど。
それで、彗星の滝に最初大人数で向かったけど、竜に全員敗北。
さらに、吹雪の島に行ったはいいけど寒すぎて撤退。
それで、一番楽そうなここに来て、花びらを取っていった」
「そんな……」
地球人に、ついに先を越されてしまった。
それは、かなりの衝撃だった。
私はとりあえず話題を変えてみた。
「で、夢人はあの後どうなったの?絶対だめだと思ってたんだけど……」
「ああ、あれか?
ぼくはお前らが逃げ延びたのを確認して、何機かの地球人の戦闘機を道連れに自爆して、うまくタイミングを計ってパラシュートで脱出した。
ただ、あまりに爆風が強すぎて、全然違う方向に飛ばされたけど」
それで、会えなかったわけか。
どっちにしろ、私は霊魂神殿にいたからあの後の状況はよくわかってなかったんだけど。
「まあ、生きてて良かった……」
美羽の呟きは、私の心の中の想いと一致していた。
「ところで、花びらはどこに持っていかれたの?」
ひと段落したところで、私は聞いてみた。
「……真衣に縁のある場所だよ」
「……へ?」
「だから、お前が最後に住んでた場所。
お前の母親が殺された場所」
「え!?」
全く意味がわからなかった。
「……お前のいたあの町は、あのあと地球人の大規模な基地に変わったんだよ。
今の名前は……『侵略者の庭』だ」
私の心を揺さぶるには十分すぎるほど、その事実は重かった──。