フラワー・ストーリー 第35章
真実を知った私たちは、急いで本部の近くへと向かった。
実は、侵略者の庭は、正式には「地球人の遊び場所」、通称を「EGG」(Earth people’s Game Gardenの略)というのだが、ドリームウィングでは皮肉で「AGG」(AGgressor’s Garden)と呼んでいた。
ただ言いにくいので、夢人は『侵略者の庭』と言ったのだった。
「できれば略称はLGにしたかったんだ」
「それ、Leaf Green?」
「いや、Loyal Gardenだ」
「どっちも言っちゃだめ!」
私は急いで止めた。
ようやく本部の近くの、あの森に戻ってきた時、夢人が言った。
「ぼくは、一度本部に戻る。
2人は、一刻も早く花びらを取り返してくれ」
私たちは、夢人と別れて、侵略者の庭へと向かった。
侵略者の庭……確かにそんな感じがした。
門の所には兵士が何人もいる。
おそらく、入ってくる方だけでなく、出ていく方も見張っているのだろう。
だとしても凄く厳重な警備だ。
私は、花びらがある事を確信した。
「どうやって侵入する?」
「えーと……警備員フルボッコ☆」
「無理」
「じゃあ……滅多打ち?」
「同じだよ」
「爆弾投下」
「………投下は無理だけど、爆破ならできるかもね」
私は、そういって門へと駆け出した。
警備員が私の方を向く。
私は少し中に入りかけて、一度止まった。
警備員が一瞬気を抜いた瞬間に、爆弾を投げつけた。
それも、夢人からもらっていた、全く音のしない爆弾だ。
門が音もなく焼け焦げる。
「さあ、行こう」
私たちは、侵入を開始した。
中にはたくさんの人がいたが、さすがに遊び場とあって、普通にショッピングモールや遊園地が入っていた。
アーチ人と地球人は見分けがつかない事から、中に入ってしまえば私たちは全く怪しまれなかった。
ただ、立ち入り禁止の場所が結構あり、どこに花びらがあるかわからなかった。
「やっぱり、監視塔かな?」
この庭の作りは、地球人用の遊園地、巨大なショッピングモール、地下の牢屋、そして高い監視塔から成っていた。
監視塔と牢屋は立ち入り禁止なのだが、牢屋に隠すとは思えない。
そうすると、やはり監視塔が怪しい。
「行ってみよう」
こうして、私たちはいよいよ「侵略者の庭」の拠点、監視塔へと乗り込む事となった。