フラワー・ストーリー‐本編 access_time

フラワー・ストーリー 第36章

 監視塔には、警備の兵士がたくさん……いるかと思っていたけど、意外にも誰もいなかった。
「運がいいね」
 そういって、美羽が走り出した。
 私も、急いで後を追った。
 そして、美羽が扉を開けようと手を触れた、まさにその瞬間だった。
 突然草陰から何人もの警備員が出てきて、私たちを包囲した。
「うそ……」
 美羽が唖然とする。
 全てが罠だった事を、私も美羽ももようやく気づいた。
 しかし、もう遅かった。
「やはり、かかったわね」
 前に進み出たのは、1人の女性兵士。
 どうやらリーダーらしい。
「入り口が爆破されたから、監視塔をわざと手薄にして、おびき出せる……案外、大した事なかったわ……」
 これは、まずい。
 そう私は思った。
 美羽はドリームウィングの幹部だし、私も指名手配中。
 最悪の場合、2人とも処刑されるし、そのうえ花びらを一気に4枚奪われる事になる。
 私が何か方法はないかと辺りを見回していると、突然さっきのリーダーが言った。
「……もしかしたら、仲間がいるかもしれないわ。
 あなたたちは、あたりを捜しなさい。
 私がこいつらを牢屋に連れて行く」
「ですが、何人か一緒にいた方が……」
 副リーダーらしき男が答えた。どこかで聞き覚えのある声だ。
「私は、1人でこいつらに聞きたい事がある。
 邪魔はさせない」
 その女性兵士の言葉で、他の兵士はすぐにいなくなった。
 そして、4人だけになった。
「……逃げないのね」
 その人が呟いた。
「どうせ逃げても、さっきの兵士に捕まるだけ、でしょ?」
 私がそういうと、その人はふふっと笑った。
「別に、私はあなたたちから話が聞きたいだけよ。
 逃げないなら、早く来て。
 これ以上いても、怪しまれるだけよ」
 そう言い残して、その人は先に監視塔へと入っていった。
 逃げるかもしれない、とは全く思っていないらしい。
「どうする?」
「別に逃げなくていいと思うよ。
 たぶん、あの人は、敵じゃないから」
 美羽はそういって、その人の後へと続いた。
 私は、急いで美羽を追いかけた。

「私は、春野萌香。
 あなたたちと、一度話したいと思ってたから、あの兵士たちを追い払ったの」
「そうですか。でも、どうしてぼくたちと話したかったんですか?」
「もちろん、地球人を追い返すためよ」
「え!?」
 これには、私も美羽も、とても驚いた。
 地球人が言うセリフではないと思ったからだ。
「あなたたちは、地球人は全員悪者だと思ってるみたいね。
 でも、そんな事はない。
 私のように、アーチ人を侵略する事に反対した人も大勢いるのよ」
 そして、萌香さんは、今までのいきさつを話してくれた。
 それは、今まで聞いた事のない、地球側の事情……。

フラワー・ストーリー 第36章 への{{comments_list.length}}件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

フラワー・ストーリー‐本編 カテゴリーの最新記事