ユニバース・アドベンチャー ★1

★1 We Can Break To Tranquility!!

「それでは、よい夏休みを過ごしてください」
 先生のそんな言葉で、1学期は終わりを告げ、生徒からは大きな歓声が上がった。
 ……もちろん、その歓声の内訳にはあたしも入っている。
「ルナ、明日の7時に駅だよ?わかってるよね?」
 クラスメートのサエこと、月宮紗枝があたしに話しかけてきた。
「わかってるって」
 あたしは適当に返事を返した。
 サエとは、明日から1週間ほど旅行に行く計画を立てていた。
 あたしの名前は、星川瑠奈。
 今年中学に入学したばかりの、1年生だ。
 サエとは小学校の頃からの大親友で、ほぼ毎年同じクラスになっている。
「あ、そうだ!」
「どうしたの?」
「せっかく1学期も終わったし、何か盛大にイタズラでもしない?」
「やだ。中学の内申は高校入試に関わるのよ?」
「そんな事言ったって、一度くらい何かしても、度が過ぎなければ大丈夫でしょ。
 それに、ここって内申2年からでしょ?」
「あ、そっか。でも、やっぱり怒られるって……。
 第一、何するつもりなの?」
「えーと……あ、そうだ!あの部屋に入ってみない?」
 あの部屋、というのは旧校舎の3階の、関係者以外立ち入り禁止だと入学初日に言われた、謎の多い部屋の事だ。
「あそこだけはだめだって!絶対にだめだって言われたでしょ?」
「だからこそやる価値があるのよ。中学ではおとなしくしてきたけど、いい加減うんざりでしょ?」
「まあ、そうだけど……」
 サエもしぶしぶ認めた。
 あたしもサエも、平穏は嫌いな性格なのだ。
 たとえ危険を冒してでも、楽しく過ごしたい、というタイプだ。
 だからこそ、今までずっと仲良くできたんだけど……。
「作戦はあるわ。
 絶対に、入ってみせるわよ」
「ええ、そうね」
 私がそう宣言すると、ミカも同意した。

「あの、すみません。
 私たち、夏休みの課題で、『学校で一番偉い人』の事を調べてるんです。それで、この学校で一番頑張っている、警備員さんにお聞きしたいことがあるんですが……」
「おっ、初日から課題とはえらいじゃないか。でも、おれなんかでいいのかい?校長先生とか、そういう方じゃなくて」
「ええ。ほら、『縁の下の力持ち』っていうじゃないですか。日のあたる人だけがえらいとは思いませんから」
「そうかそうか。で、何を聞きたいんだい?」
「えーと……あ、ここだと校庭の部活の声が聞こえてしまうので、こちら側で話していただけませんか?その方が、よりいいレポートが書けると思うので」
「よし、わかった」
 そういって、警備員は行ってしまった。
 もちろん、あの生徒はサエだ。
 部屋の中に入るために、あたしの立てた計画の第一段階は、見事成功した。
 サエが警備員を遠ざけている間に、あたしが中に入っておく。
 そして警備員が帰るまであたしは部屋の中、サエは校舎内に隠れていて、仕事が終わったらあたしが中から鍵を開ける、という手順。
 まさに完璧だ!

 あれから30分くらいして、警備員は勤務時間が終わったらしく、いなくなった。
 と同時に、あたしは携帯を出して、サエにメールで連絡する。
《警備員は帰った。早く来て》
 数分後に、誰かの足音がした。
 あたしはすぐに鍵を開けた。
「どう?完璧な作戦でしょ?」
 ところが、サエの反応は微妙だ。
「ん、まぁ……完璧なんだけど、一つ誤算が……」
「どうしたの?」
 すると、廊下の陰から、突然誰かが現れた。
 それも、2人。
「楽しそうだね、ルナちゃん☆」
 それは、天宮香苗と、水沢ひかる。
 つまり、計画の誤算とは、余計な邪魔が入った事らしい……。

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