ユニバース・アドベンチャー ★3

 ★3 Mirror’s Mystery
 
 ふと気づくと、あたしはベッドに横になっていた。
「……ああ、目が覚めましたか?」
 目の前に、ぬっと顔が出てきた。女の人だ。
「あ……あなたは誰?」
 あたしは、妥当な質問をした。
 妥当なはずなのに、くすくすと笑われてしまった。
「……どうしたんですか?」
「だって、あなたのお友達も、全く同じ事を聞くから……」
 あたりを見回すと、すでにサエとヒカルが座っていた。
 あたしは反射的に身構えたが、サエが止めた。
「落ち着いて、ルナ。この人は、悪い人じゃないわ」
「初めまして。私はリア。この星の鏡を守る者です」
 その言葉で、あたしはようやく本当に目が覚めてきた。
「ここはどこ!?あの鏡はいったい何なの!?」
「まあまあ、落ち着いてください。もう1人の方が起きたら、まとめて説明しますから……」
 カナは、まだぐっすりと眠っていた。

「ここは、ソルジット系という小宇宙の中の、衛星シンシア。あなたたちのいた太陽系とは、とてつもなく離れています」
「じゃあ、おれたちはなぜここに……」
「それは、あの鏡……『トリップ・ミラー』の魔力によるものです」
 リアのその言葉に、いち早く反応したのはサエだった。
「トリップミラー?何ですか、それ?」
「トリップミラーは、2つの鏡で一対となっている、不思議な鏡です。
 2つの間に、魔法の通路を作り出して、どんなに遠く離れた場所でも瞬時にワープさせる力を持った鏡です」
「でも、それがなぜ地球に?」
「それはわかりませんが、トリップミラーの存在は、そちら側では信じられていないようです」
 リアの説明で、大まかな事はわかった。すると、あたしには素朴な疑問が浮かんできた。
「あ……そういえば、何で言葉が通じるんですか?」
「ああ、それを説明し忘れていました。
 このあたりの小宇宙、ソルジット系に住んでいる人は、その昔──そちらの暦では、13世紀後半くらいですね──に、鏡の力で日本から送られてきた人の子孫なんです。
 ここに来てしまった人たちの多くはその頃の日本の封建支配に強く反発していたため、日本には戻らず、このシンシアを中心とした自由主義社会を築いたんです。
 そしてここでは、個人の意思が尊重されたために科学は凄い勢いで発展して行きました。
 宇宙船の技術もすぐに確立され、このあたりにある30個以上の惑星に次々と移住していき、今はソルジット系全体で30億人以上が暮らしています。
 ……話がそれてしまいましたが、要するに、先祖はあなたたちと同じなんです。
 なので、言葉もあなたたちのものとほぼ同じですし、ソルジット系全体でも方言のような微妙な違いはあっても、ほとんど言語の違いはありません」
 リアの説明は、かなりわかりやすかった。
 つまり、このあたりに住んでいる人は全員日本人だから、日本語が通じる、と。
 あたしがなぜ名前が思いっきり外国人なのか、という質問をするかどうか迷っていたら、先にヒカルに質問されてしまった。
「で、おれたちは戻れるんですよね?」
「はい、もちろん、そうする事も可能です。
 ただし、このソルジット系に関する記憶は抹消されますが」
 それを聞いて、あたしにまず浮かんできたのは『安堵』の気持ちだった。本当は、この別宇宙の記憶が消されるのは、ちょっぴり残念だったけど、この際仕方ない。
「では、あちらの施設へ来てください。
 ぴったり30分で記憶が抹消される装置がありますから」
 リアはテーブルを離れようとしたが、その前にカナがこういったので、リアは足をキッチンに向けざるを得なかった。
「おなかすいた!行く前に、シンシアの料理食べたい!!」

 それから30分くらいして、ようやくカナの空腹も収まったので、あたしたちは全員でその施設へと向かう事になった。
 その途中、あの鏡らしきもののところをすれ違った時に、ふとヒカルが聞いた。
「ところで、そんなに魔力のある鏡なら、何で厳重に保管してないんですか?」
 確かに、鏡はガラスケースに入っているものの、無防備に祭壇の上に飾ってある。
 盗もうと思えば、簡単に盗める。
「ああ、それには事情がありまして……」
 リアがそう言った時、突然誰かの悲鳴がした。

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