ユニバース・アドベンチャー ★10
★10 Escape hurriedly!
「リア……ありがと……」
「いえ、このくらいは何とも無いです」
「でも、その銃は……さっきのマシンガンとは違うよね?」
「ええ、最初はあれを使っていたのですが、音が大きいので、鬼から奪ったこれを使っています。
さあ、階段まで行きましょう。
もう、サエとヒカルが着いています」
「カナは?」
「わかりませんが、すぐに探します。
とりあえず、ルナは急いでください」
「そんなのダメだよ……一緒に手分けして……」
「それは、意味がありません。
ルナには鬼を倒すだけの力がありませんから、カナと合流したところで2人とも捕まるだけです」
「だったら、先にカナの所へ行って。あたしは、自力で階段を探す」
あたしが粘ると、リアが怒鳴った。
「それでは意味が無いんです!
カナの事が心配なら、一刻も早く自分の安全を確保してください。
私も、その方がカナを探す事に集中できますから」
そう言うと、リアはあたしの手を強引に引っ張って、階段へと連れて行った。
「さあ、先に行っていてください……お願いします」
……その時のリアの真剣な声の響きを、あたしは一生忘れないと思う。
「ああ、カナ!!」
階段を下りた後の、控え室のような小さな部屋で、あたしたちが10分ほど待っていると、ついにリアとカナが帰ってきた。
「よかった……」
「見つけるのに多少時間がかかりましたが、大丈夫です。
傷を負ったのは、ヒカルだけですね?」
「え、ヒカル……?どうしたの?」
「これを見ろ」
ヒカルが、防寒服の袖をひらひらと振った。
袖には、たくさんの穴が開いていた。
「まさか、腕を撃たれたの?」
「ああ。言っとくけど、おれは大丈夫だぞ。
撃たれたといっても、銃弾は入らずに袖を貫通しただけのがほとんどだ。
一発だけ、腕の皮に当たったけどな」
言いながらも時折顔をしかめるヒカルが、とても痛々しく見えた。
「それはそれとして、この先にダークネスの手下がいるんだよね?」
カナがリアに問いかけた。
「ええ。ただし、敵はかなり強いと思うので、気をつけてください。それから……」
リアは、そこで一旦言葉を切ると、背負っていたリュックから何かを取り出した。
それは、4つの小型のショックガンだった。
「これを、皆さんに。
プレゼントしますから、この戦いに勝ったとしても、護身用に持っていてください。
もし私が、この戦い……または、これからの冒険でやられてしまった時も、UFOと護身用の武器さえあれば、この宇宙では何とか生き延びられると思いますから……」
リアの言葉の、ただならぬ雰囲気を感じ取って、あたしたちは黙り込んでしまった。
カナが、重苦しい雰囲気を払拭するように、明るく言った。
「大丈夫だって!
戦いは、どう転ぶかわからないんだから、とりあえず、行ってみようよ!
そういう暗い事を考えるのは、終わってからでもいいでしょ?」
カナのその言葉に、あたしたちはかなり勇気付けられた。
「そうですよね。
戦う前から諦めていては、絶対に勝てませんから……!」
「おれたちの強さを、ダークネスに見せてやろうぜ!!」
「……ちなみに……」
全員が盛り上がっている所に、サエが気まずそうに水を差した。
「その手下って、どんなやつなんですか?」
リアは目を逸らして黙り込んだ。
「……そこで黙り込まないでくださいよ!!」
「たぶん、勝てますよ……」
リアが微妙な表情で言った。
「また弱気になってる!
だめじゃん、そんなんじゃ!!」
カナが怒って頬を膨らませた。
本当に子どもっぽくて純粋だなぁ、とあたしは思った。
「絶対に勝つくらいの心意気で、臨もうよ?」
「ええ、そうね!!」
あたしたちは、お互いの手を重ね合った。