ユニバース・アドベンチャー ★29
★29 We Entry to Larmia
「……ラーミアに来るのは初めてですか?」
「はい」
「わかりました。
では、女性かどうかの検査をするので、ここに並んでください」
「はい」
あたしたち6人は、ラーミアの入星検査を受けている。
普通の星は入るのにパスポートすらいらない(都道府県的存在だから当たり前)のだが、この星は性別検査が必要になっているのだ。
「お名前は」
「ルナ、サエ、カナ、ヒカル、リア、それから……」
そういってリアはセインをちらっと見た。
「……ハーマイオニーで」
「……『で』?」
「いえ、ハーマイオニーです」
「わかりました。
では、ラーミアでごゆっくりお楽しみください・
……あ、それから」
あたしたちがさっさと行こうとしたので、監視員の人が呼び止めた。
「今日の夜にはラーミア創立410周年記念のパーティーがあるので、ぜひ出席してくださいね」
「わかりました」
あたしたちはまっすぐホテルに向かった。
そして防音機能のついている部屋を選択し、扉をゆっくりと閉めた。
「……って!!
何で僕の偽名ハーマイオニーなんですか!?」
ぱたん、という扉が閉まる音がしたまさにその瞬間、セインが勢いよく口を開いた。
「だって、その方が面白いじゃないですか」
「……ていうか、まずこの服をどうにかしてほしいんだが。
もう少しおとなしい感じのは無かったのか?」
ヒカルが不機嫌そうな顔……というか、不機嫌そのものの顔で言った。
セインが着ている……じゃなくて、着せられているのは、胸元が大きく開いた白のキャミソールと、水色のミニスカート。
ヒカルは黒いブラウスにフリルのついたオレンジ色のスカートを着ている。
「ていうかそもそも、お前ら全員デニムだろ。
何でおれたちだけスカートなんだ?」
「だって、2人がデニムとかだったら、普通にバレちゃうじゃない。
あえて女性らしさを表現できる服装の方がバレにくいでしょ?」
あたしが意見すると、2人は黙ってしまった。
「本当ならメイド服とかにしようかと思ったんですが、さすがに怪しまれるので……」
「あの~、僕たちの事着せ替え人形かなんかと間違えてませんか?」
「あら、違ったんですか?」
リアの言葉を聞いて、あたしは、本当にロディアさんとリアは親子なんだな、と実感した。
「……で、早く武器を届けてここを出たいんだが」
「残念ですが、それはできません。
ほら、記念パーティーがあるって言ってたじゃないですか?
この星のリーダーも、みんなあのパーティーの準備で忙しいんですよ。
なんせ、10年に1度、ラーミアの力を総結集して催されるパーティーなんですから。
今日だけは、男の方も普通に入れるみたいですし……」
「え?」
ヒカルが声を出した。
「……入れるのか?普通に」
「いえ、今日の夜までですよ。
私たちは明日までいるんですから、そのままだと2人だけ強制的に追い出されますよ?」
「そうか……。
って!
男が来るのか!?」
「それがどうかしたんですか?」
「目に見えてるんだよ!!
どうせあれだろ!?
ヒナ祭り祭りの再来なんだろ!?!?
どうせセインかおれに鉄ヲタがまとわりつく展開になるんだろ!?」
「……どういう意味ですか?」
「そうなんだろ!?
どうせ明日のタイトルは『Love’s Magical Sein Lun Lun』なんだろ!?」
「いえ、たぶんあさってですよ」
「どっちでも一緒だ!!
大晦日にそんな話をするな!!」
こうして、パーティーの時間は刻々と近づいていた。