ユニバース・アドベンチャー ★31

 ★31 Love’s Magical Hikaru LunLun

「……放してください」
「理由を聞かせてください」
「放してください!」
 ヒカルはそういってその人の静止を振り切り、逃げ出した。
 もともとヒカルは運動神経はいい方なのだが、さすがに服装がミニスカートでは思いっきり走る事もできず、動きにくそうだった。
 そのため、その人に追いつかれはしないものの逃げ切る事もできない状態になってしまっていた。
「……こうなったら……!」
 ヒカルは通路を急いで曲がると、人ごみの中を直進した。
 大勢の人の中に紛れて、隠れるつもりだったのだろう。
 ところが、ヒカルのあまりのスピードに人ごみの方が両側に避けて道を作ってしまい、逆に通った道がわかりやすくなってしまった。
 そこでヒカルは作戦を変えて、今度は誰もいない廊下を全力疾走し始めた。
 人のいない廊下なので、すでにスカートが捲り上げられているのとか全く気にしていない。
 そのためスピードはさっきまでと全く違い、その人を引き離せる……はずだった。
 ところが、その人も周りに人がいないとわかると遠慮をやめ、突然スピードを上げ始めたのだ。
 2人とも目にも止まらぬ速さで走っていて、もしここに誰かが現れたら瞬時に跳ね飛ばされるだろうというくらいの勢いだった。
 おそらく、普通の人は自転車でも抜けないだろう。
「ついて来ないでください……!!」
 ヒカルが言ったが、あまりの速さで大部分はかき消されていた。
 とはいえ、何とかその人も聞き取れたらしかった。
「ダメです!
 僕は今まで……こんな感じで10人以上の女性に嫌われてきたんです!
 なので……本当に、何がいけないのか、知りたいんです!!」
 なんだかすごく可哀想になってきたけど、だからといってヒカルが止まってあげるわけもなかった。
「他の人をあたってください!
 私はそういうアドバイスできるほどの経験なんてないので!!」
 ……まあ、実際女性になって8時間弱だし。
「そんな事言わずに!
 あなたは、僕にいいアドバイスをくれる気がするんです!!
 僕の本能が告げています!!」
 ……役に立たない本能……。
「今すぐ捨ててください!!
 警察を呼びますよ!!」
「……僕は何にも悪い事はしてません!!」
 言われて見れば、確かにそうだ。
 そこでヒカルは最終手段として、たまたま通路近くにあった女子トイレに飛び込んだ。
「待ってください!ヒカルさん!!」
 その人は悲痛な面持ちで必死に呼びかけたが、ヒカルは無視した。
 その人はそれから10分くらいでいなくなったんだけど、ヒカルはそれから20分くらい閉じこもっていた。
 ヒカルにとっては当然初めて見る光景だったので、その間中そわそわしていて、それはそれで滑稽だったんだけど、30分もするとさすがに飽きたので、あたしは呼びに行く事にした。
 ちなみに、この話の5行目からの描写は、全てリアから借りた監視用のUFOからモニタリングしていた。
 誰もいない廊下には隠れるところもないし、だいたい隠れてたら追いつけないし。
「おーい!ヒカルー!
 いつまで隠れてるのー?」
 あたしがそういって呼び出すと、ヒカルは顔を真っ赤にして個室から出てきた。
「…………」
「ん?
 どうかしたの?」
「……どこで見てた」
「え?」
「……どこで見てたかって聞いてるんだよ!!」
 ヒカルの強烈な右フックが炸裂した瞬間だった。
 あたしは、ヒカルがれっきとした男性である事を改めて思い知らされた。

「……にしても、面白かったね~。
 ヒカルの女 装。またやってよ」
「ぜったいに嫌!!」
「……あら、でもセインのも面白かったですよ?
 あ、録画してあるので観ますか?」
「観る観る!」
「私は、ヒカルの方が観たいんだけど……」
 来年、セインの分岐ルートをやるかどうかは未定だけど……。
「一ヶ月間ありがとうございました!!」

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