映画・音楽・小説の感想 access_time2014.01.21 23:57 update

センスレスワンダー!



フラゲしてきましたー!

ヒトリエメジャーデビューシングル『センスレス・ワンダー』




ええと、雑感としては『全曲がキラーチューンの最強シングル』


wowakaさんの曲は基本的にどれも好きなのですが、その中でも好みはあって、

「泡色の街」や「Inaikara」、「テノヒラ」のような『しっとり切ない系』は、相対的に少し苦手だったりするのですが、


このCDではその位置にあると思われる「さらってほしいの」が、「プリズムキューブ」や「カラノワレモノ」のような『切ない明るさ』を持った曲になっているので、

全曲に引き込まれ飽きない、私にとっては理想的なシングルになっているのです。



ということで結構まじめな全曲レビュー。



1. センスレス・ワンダー

表題曲。立ち位置的にも『アンハッピーリフレイン』っぽい曲ですが、より鮮烈な鋭さを持っています。

ギターリフからwowaka節の炸裂する、とにかくカッコいい曲。
ヒトリエとして見るとドラムの暴れ方が一際目立ってるかなと。

歌詞は安定すぎて言うまでもないのですが、入りの
「あたしはイレギュラー 内側に咲いた自尊心」
この時点でやられたーって思いますよね。



2. さらってほしいの

上に書いた通り、3曲の中では落ち着いた曲。雰囲気は『プリズムキューブ』や『ヒトリワラッテ(LiSA)』の前半に近いかと。もちろんバンドサウンド全開なので質感は全く違うのですが。

沁みわたるようなギターの音にwowakaさんの声がマッチしていて、聞き入ってしまいます。

Aメロのメロディーラインはなんというか、wowakaさんの曲に共通する「奇をてらう必要のないストレートなポップさ」の最先端ですよね。

王道を無理矢理に外れて不自然になっては意味がない。そういう真っ直ぐな音作りはまさしく「ポップス」です。



3. darasta

今までとは系統の異なる、かなり挑戦的な曲。

他の曲では喩えづらいのですが、メロディーライン以外は『リバシブルドール』あたりに若干近い…?

どちらかというと米津玄師さんの曲に似た雰囲気が流れているように感じます。『ポッピンアパシー』など。

もちろん米津さんほど振り切れて変わった音作りではなく、むしろ徹底したバンドサウンドにこだわった中でその天井を破壊するとこうなるのか、という印象。

サビの「何の意味も持たない歌詞」も新鮮です。そういう意味でも米津さん(ハチさん)の『パンダヒーロー』『black sheep』に通ずるものを感じるのですが、

一方でwowakaさんはインタビューなどではボカロ時代から一貫して『語感を何よりも重視している』ことを語っていて、

このシングルに合わせたインタビューでwowakaさん本人が言っていたことと重なるのですが、

語感を極限まで突き詰めるとああいう風にもなるのかなあ、というところではあって、


そう考えると『darasta』はやっぱりwowaka/ヒトリエの曲の1つの到達点だと思うのです。


——————–

『センスレス・ワンダー』がヒトリエの持つ洗練されたキャッチーさ、

『さらってほしいの』がヒトリエの人間で構成されたバンドであることを踏まえた感情の揺さぶり方、

『darasta』がヒトリエの個性的で高純度なセンス、

と、ヒトリエとしての強み、特徴、独自性を、それぞれで象徴し、統括していて、

そういう意味で「ヒトリエの名刺がわりの一枚」というwowakaさんの言葉はまさにその通りだと思います。



とにかく日本のミュージックシーンを変えてくれるんじゃないかと本気で願います。


VOCALOIDという今の音楽シーンの最先端で、同時に未熟で、だからこそ安全な雲の上から、

あえて4ピースバンドとなってJ-ROCKという既に開拓された激戦のフィールドに殴り込みをかける。


それそのものがとても格好のいい、格好よすぎて仕方のない、新たな潮流だと思うのです。



今のVOCALOIDシーンの主流である「高速四つ打ちボカロック」の流れは、wowakaさんがその起点の一つになっていて、

例えばその延長にじん(自然の敵P)さんがいたりするのですが、

やはり「ロック」には若い世代に強く作用する力が潜在的にあって、


ryoさんが作り上げた「キャラソンではない歌手としての初音ミク」というシーンを、バンド出身のwowakaさんやハチさんなどが「ボカロック」へ引き込んだのだと思うのです。



で、wowakaさん自身の「高速四つ打ちボカロック」の系統は『ワールズエンド・ダンスホール』で完成していると個人的には思っていて、

だからこそ『アンハッピーリフレイン』はより人間的なバンドサウンドを押し出したものになっているし、

初のメジャーフルアルバム「アンハッピーリフレイン」で、このスタイルでできることはやりきったと語っています。


そうして、ある種の安定したポジションを得ていたところを、あえて飛び出した「wowaka(現実逃避P)」が、

約2年の準備期間を経て「ヒトリエ」としてついにメジャーシーンに帰ってきた、

それがこの「センスレス・ワンダー」なのです!



ここまで書けばいい加減欲しくなったと思うので、是非とも買いましょう。


ボカロという音楽シーンの方向を変えたwowakaさんのセンスに、

ヒトリエという圧倒的な個性と演奏スキルを持ったメンバーが加わって、

きっと日本のロックシーンを、もう一回、動かしてくれる。


それだけのパワーがあるCDです。ぜひ聴いてみてください。



——————–


ちなみに私が買ったのは初回限定版なので、同人ミニアルバム「ルームシック・ガールズエスケープ」のMV集もついているのですが、


そもそもこのアルバムの楽曲は1年前から全曲100回以上、カラノワレモノなどは300回近く聴いてきたので今さら語れないです。

でもやっぱり名盤です。この機会に買いましょう。

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