アニメ・ゲームのこと access_time2017.03.15 23:28 update

『スーパーボンバーマンR』は決してクソゲーではなく、正統な「スパボン6」です

 3月3日に発売された最新ゲーム機「Nintendo Switch」の、2本しかない独占ローンチタイトルのうちの1本、『スーパーボンバーマンR』。(もう1本は『1-2-Switch』です)

 ハドソンがコナミに買収されて以降途絶えていたボンバーマンシリーズの久々のコンシューマー向け新作にして、

 「スーパーボンバーマン」というタイトル、凶悪ボンバー5人衆の復帰など、往年の、特にスーファミ時代のシリーズファンを惹きつける要素満載のタイトルであり、注目度もそれなりに高まっていました。

 にも拘わらず、蓋を開けてみるとオンラインは遅延で遊べない、オフラインでも遅延がある、操作性も最悪、などなど、欠陥だらけ! やっぱりコナミはコナミだった!

 

 みたいなイメージを持ってしまっている方が多いのではないかと思いますが、全くそんなことはありません。アフィブログに騙されないでください。私は既に35時間ほどプレイしていますが、ちゃんと面白いゲームです。

 このゲームは間違いなく「スーパーボンバーマン6」です。先に言っておきますが、リメイクも新シリーズでもありません。続編です。

 ボンバーマンファン、特にスーファミ時代のスパボンが好きだった人は絶対に遊ぶべきゲームです。

 以下、その理由を説明していきます。

 

(2018/3/3 1周年に寄せて改めて感想を書き直しました。現状に即したレビューだけを読みたい方は先にこちらをどうぞ。)

『スーパーボンバーマンR』の1周年に寄せた感想の書き直し

 ちょうど1年前の2017年3月3日に発売されたゲーム機「Nintendo Switch」の、2本しかなかった独占ローン... 続きを読む

access_time2018-03-03

 

(3/22:3/17のアップデートで一部変更があったため追記しました。)

(4/23:4/21のアップデートで大幅な変更があったため、記事の最後に追記しました。また、コメントへの返信も行いました)

(7/14:アップデート前の内容を元にした記述を一部編集しました。)

Contents

無に等しいオンライン対戦

 まず、発売通りのオンライン対戦は評判通り、遅延が酷くてまともに遊ぶことはできませんでした。ここは擁護できないポイントです。

 ……といっても、厳密には「ラグ」ではなく「遅延」であり、定期的に全員がフリーズするだけで、自分が動けない間に相手に動かれることはないので、慣れてしまえば遊べないことはないのですが。

 しかし、そもそもスーファミのボンバーマンにオンライン対戦などというものはなかったのですから何も問題はなく、少なくともシリーズとして劣化はしていません。

 オフラインで一緒に集まって遊ぶ友達のいないゲーマーに人権はないという強力なメッセージが伝わってきます。

 私は幸いなことに一緒に遊ぶ兄弟がいるので不満はそんなにありませんが、一緒に遊ぶ相手が周りにいない方はゼルダを買いましょう

 ……という状態でしたが、現在ではオンラインでも遅延などの問題はほとんど起こらないようになりました。

 その代わり、マリオカートやARMSが発売された現在となっては、ランクバトルでは4人集まることの方が珍しいという過疎状態であり、アマチュアリーグとゴッドリーグでマッチングしたりもしますが……。

 

 ちなみに、オフラインの遅延については、少なくとも私は(Joy-Con2本持ちやJoy-Conグリップ使用時も含めて)発売当初からほとんど感じたことがありません。

 ゼルダでも時々報告されるJoy-Conの遅延と、後述する操作性の変化、さらに公式が横持ちを推奨しているなどの情報が複雑に絡まって、まるでほとんどの環境でオフラインでもまともに遊べない状態であるように思っていた方もいるかもしれませんが、そんなことは全くありませんので安心してください。個体差・環境差もあるでしょうが、オフラインなら普通に遊べます。

 

操作感の大幅な変更

 一方、オフラインでも「爆弾を狙ったところに置けない」「ボムキックを狙ったところに止められない」「スティック操作がアナログなのでズレる」などの意見は多く見受けられ、私自身も遊んでいてこのストレスは多分に感じますが、

 これらは全て、慣れとテクニックの問題だと断言できるでしょう。

 スティックについては、Joy-Conの設計上の問題なのでこういうものだと割り切るしかなく、元々が十字キーに特化してデザインされてきたボンバーマンを現代に蘇らせる以上は仕方ないこと。

 そして、そもそも、スーファミ時代から細かい動作やタイミングなどのコツはシリーズごとに異なっていました。

中でも、柱の方向にキャラを向けた時、どこなら柱に衝突させて、
どこなら曲がろうとしていると判定して柱を迂回するようキャラを動かすか、
その触り心地は歴代のスーパーボンバーマン5作品でもバラバラのために
このへんは、歴代のシリーズを踏まえながらも、今作でのプレイ体験に対して
最適な形になるよう、最後まで調整が続きました。

祝『スーパーボンバーマン R』発売! | ヘキサ日記 | HEXADRIVE

 もし「同じ条件で同じタイミングにボタンを押しても狙った通りに爆弾を置けない」というのであれば、それは欠陥と言えるでしょうが、

 常に1マスずれるのだとしたら、常に1マス早めに押せばいいだけ。条件は全員同じです。慣れていきましょう。実際私は30時間ほどプレイしているうちにちょっとだけ慣れてきました。

 このような操作感の変更・操作テクニックのリセットは、ボンバーマンに限らず、あらゆる対戦ゲームシリーズに付きまとう問題です。『大乱闘スマッシュブラザーズ』のDXとforがそれぞれ別のゲームとしてeスポーツに採用されているように。

 これが単に懐古向けのリメイク作であるなら、過去のファンの要望や思い出になるべく寄り添うべきでしょうが、あえて操作感を大きく変える姿勢からも、「スパボン6」と位置づけるべき作品だと言えるでしょう。

 とはいえアップデートのたびに操作性が改善されており、現在ではあまり違和感なく遊べるようになっています。

 マップが3D表現になっているストーリーモードで、3Dマップの傾きにスティックが対応してしまっているため、見た目通りにスティックを斜めに入れないと十字に動けない、という奇怪な方向にこだわり抜かれた操作性も慣れが必要でしたが、3月末のアップデートでようやく傾きを無視するようになりました。

 

必要最低限のバトルモード

 バトルモードのオフラインでの対戦については、ボンバーマンとして最低限要求されるレベルをギリギリ満たしていると言えます。

 ショップ(課金ではなくゲーム内通貨)で解禁できる分を含めて全12種類のステージ、サドンデス・みそボン・ドクロのオプション、優勝までの勝ち数設定と制限時間。非常にオーソドックスです。

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 これは発売当初の画面。4月末のアップデートでCPの強さが選べるようになり、6月末のアップデートではチーム戦が追加されました。

 ちなみにショップでは「スペシャル」という各ステージのマイナーチェンジステージも解禁できますが、見た目が少し異なるだけで元々のステージと何が変わったのかさっぱりわからず水増し疑惑がありますが、元々12個ある時点で十分なボリュームではあるので突っ込むのはやめましょう。

image11 image10
↑陰が濃くなっただけ?

 

 ステージギミックは(「クラシック」を除いて)どれも独特。シリーズ定番の「トロッコ」「コンベア」などがない代わりに、本作の特徴である高低差を活かしたステージが多くなっています。

 この高低差により、パンチやパワーグローブ、みそボンなどで投げたボムの移動マスが細かく変化するので、頭を使う場面は確実に多いです。

 ギミックに凝りすぎた弊害か、「アラビアンパレス」「ジャンクランド」など、サドンデス時に中央を封殺しやすいステージがやたら多く、特に「アナダラケ」ステージは中央に入れなくなる現象がしょっちゅう起きるので仕様穴だらけの間違いなんじゃないかと思うほど雑な作りになっていますが、それも含めて1つのゲーム性なので、とにかくバラエティに富んでいることは間違いありません。

 

 その一方、CPの強さを選べない、チーム戦がない、ステージランダムがない、CPのボンバーを選べない(CPに凶悪ボンバーを割り当てられない)など、過去作に比べてとにかく設定できる項目の少なさが目立ちます。

 スパボンですら定番だった「ギンギンパワー(最初から火力・ボム・移動速度がMAXでソフトブロックのないステージ)」と「イダテン(最初から移動速度MAXのステージ)」も当初はありませんでした。アップデートで追加されましたが。

 最近のシリーズでは当たり前だった「ハンデ」(一部のプレイヤーに最初から火力やボムなどのアイテムを与える)オプションもなくなっています。DSやWiiにあった特殊ルール「パネル」「クラウン」「みきってバトル」などもありません。

 

 ただ、それでも最初に書いた通り、「ボンバーマンに最低限必要なモード」はギリギリ備えています。

 そもそも『スーパーボンバーマン』シリーズにはチーム戦もランダムステージもクラウンもハンデもなかった。みそボンも『3』で初めて導入されたシステムだし、『5』までは入れ替わりもありませんでした。

 後で詳述しますが、特殊能力オプションは今作の完全な新要素です。高低差もそうですが。

 それらが実装された分、一部の要素が他シリーズより劣化しているのも必然だと納得しましょう。『3』で登場したルーイが『4』で消えたりした例もあるのですから。

 私たちは知らず知らずのうちにボンバーマンブルジョワになっていただけで、ボンバーマンは本来このくらいのボリュームのゲームだったのだと言い聞かせましょう。

 

異常に強いCP

 これはバトルモード、ストーリーモードの凶悪ボンバー戦、さらにストーリーモードの雑魚敵まですべてに当てはまることですが、

 敵AIが異常に賢い

 CPは当たり前のように全員の爆弾の火力を記憶して爆風読みで避け、半マス単位の移動で爆風避けし、袋小路に入ったプレイヤーを躊躇なく爆弾で閉じ込め、みそボンもジャストで投げ込み、サドンデスでは当然のように安全地帯を確保しにいきます。とんでもなく強いです。

image2
↑当然のようにミリ単位で炎を避けるCP(青ボンバー)。

 そのうえ、信じられないことにバトルモードのCPの強さを選べません。

 おそらくSwitchで初めてボンバーマンに触れる小学生はボコボコにされることでしょう。

 でも、思い返してみれば、スーファミの初代『スーパーボンバーマン』も同様に、CPが異常に強いゲームでした。

 当たり前のように半マス単位で炎を避け、サドンデス後の狭いフィールドで高速戦闘を展開するCPUの姿に憧れた子どもも多かったはず。かくいう私もその一人でした。

 おもてなし精神の真逆を行く、プレイヤーに挑戦状を叩きつける敵だからこそ、倒した時の喜びもまた大きいのではないでしょうか?

 CPの難易度はアップデートで設定できるようになりましたが、依然として「つよい」の強さは圧倒的です。

 

革新的な特殊能力バトル

 さて、今作のバトルモードで、過去作とは全く違うプレイ感覚で遊べるのが「特殊能力」のオプション。

 これは何かというと、ストーリーモードの凶悪ボンバー5人衆を自機として操作し、特殊ボムを使ってバトルできるようになるオプションです。

 (ちなみに特殊ボムはBボタンで設置するので、通常ボムと置き分けも可能。今作はリモコンボムはありません)

 「特殊ボムを標準装備なんてボンバーマンじゃない!」と思いきや、これがなかなかバランスのとれた奥深いシステムになっています。

 

 マグネットボムは相手に吸い付いていく、ゴーレムボムは相手にパンチ・キックされない、セクシーボムは敵が近づいてくると爆発するなど、それぞれ面白い能力を持っているのですが、

 特筆すべきは、ゴーレムボムをパワーグローブやパンチで飛ばした時の挙動。

 通常、パワーグローブやパンチで飛ばしたボムが他のボンバーの頭上にあたると、アイテムを1個落として少し怯むのですが、

 このゴーレムボムが頭上にあたると圧死して即敗北になります。

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↑圧死した黒ボン(画面下部)。犯人は画面上部。

 これによって一人だけ次元の違う脳筋プレイを仕掛けることができます。

 ちなみにCPに凶悪ボンバーを割り当てることはなぜかできませんが、CPは特殊ボムがなくても十分に強いので、張り合いがなくなって困ることはないでしょう。

 

 6月末のアップデートでコナミ作品とコラボした新ボンバーが3人追加され、直線に高速移動する能力、遠くの敵やボムを引き寄せる能力、そして触れるだけで相手を殺す能力が加わったことで、ますますカオスになりました。ローカルで友達と一緒にやると、スマブラXのような大味でダイナミックなバトルができて楽しいです。

 

スパボンリスペクトなストーリーモード

 本作のストーリーモードのシステムは、スーファミの歴代ボンバーマンの要素を組み合わせてアレンジしたものとなっています。

 条件を満たすとゴールがオープンするシステム、基本ステージの後に凶悪ボンバー戦→巨大ロボ戦、などの構成は『スーパーボンバーマン2』に一番近い。

 一方、2人協力プレイ時のライフ共有、「マグマグスター」「モリモリスター」などといった惑星を順に攻略していくストーリーなど、『スーパーボンバーマン3』を元にしていると思われる部分もあります。

 敵のグラフィックは一新されていますが、「爆弾を模した見た目で爆発する敵」「突進してくる敵」「火炎放射してくる敵」「爆弾を食べる敵」「1マスおきにジャンプしてくるカエルの敵」など、シリーズお馴染みの敵ばかり。

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↑火炎放射してくる敵、爆弾っぽい敵。

 

 そして、倒したボスロボットが爆発炎上する演出は、明らかに初代『スーパーボンバーマン』を意識していてニヤリとさせられます。

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 もうこの時点でスパボンファンは涙を流して喜ぶはずですね。

 

 BGMも素晴らしい。

 どれも絶妙にコミカルで耳に残るBGMになっており、現代的なサウンドでありながらスーパーボンバーマンシリーズの雰囲気を見事に再現しています。

 特にワールド2のBGMはクオリティが高く、SNSなどでも高評価です。

 メロディーが若干『白金ディスコ』っぽい気がしました。ニコニコのMADとかで使われてほしい(願望)。

 他にもワールド4のボスステージも高評価。BGMはほんとどれも良いです。

 BGMはElements Gardenが担当しているようです。あんまり話題になってないのはなぜでしょう?

 

 ちなみに、各ステージ、開始前・ボス戦前・ボス戦後にストーリームービーが入ります。

 明らかに内容を詰め込みすぎたとしか思えない後半の駆け足展開が気になりますが、ストーリーはオマケなので特に文句もありません。スキップできますし。

 また、このストーリー、詳しくはネタバレになるので言えませんが、後半にとある秘密が明かされる衝撃の展開が待っています。

 ……待っているのです、が、スパボンRの中では伏線は一切なかったので、過去のスパボン(特に2と3)を遊んでいない人には1ミリも響かない展開です。

 しかしこれはスパボン6なのですから、過去シリーズとストーリーのリンクがあるのは何もおかしくありませんね。

 

ストーリーモードの苛烈な難易度

 ところで、スーファミ時代には、開発者がプレイヤーに挑戦状を叩きつけるような鬼畜難易度のゲームが多く存在しました。スパボンも例外ではなく、様々なギミックと高性能な敵がプレイヤーにトラウマを植えつけていきました。

 時代が進むにつれて、その難易度も正しく調整されていきます。ボンバーマンも『DS』『Wii』のストーリーモードは、ある程度慣れたプレイヤーなら一度もゲームオーバーにならずにクリアできるレベルだったと思います。

 そんな優しい開発者のおもてなしに、心地よさと同時に何となく物足りなさを覚えたプレイヤーもいたのではないでしょうか?

 安心してください。『スパボンR』は、ストーリーモードの難易度の高さもしっかりスーファミ仕様で蘇っています。

 

 ステージのクリア条件は「敵を全て倒す」タイプが基本で、一部「スイッチを探して押す」「隠れている鍵を集める」「1分間生き延びる」などの特殊な条件のステージがあるのですが、

 前者のステージはワールド1ですでに敵が17体いたりするし、

 後者の特殊ステージでは、そのほとんどで敵が無限に湧いてくるポイントが複数あります。エキスパートとなると次々に敵が復活してくるので、ワールド1~2でも普通に死にます。

 出現するアイテムがプレイごとにランダムであり、運が悪いと前半で火力しか貰えなくて死ぬことがあるのもリプレイバリューを高めます。

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 ビギナー・ノーマル・エキスパートから難易度を選択できるものの、ボス戦を除いて難易度ごとの違いは自分のライフの数と敵キャラの移動速度のみというのもわかりやすくて良いですね。

 ……念のため言っておくと、移動速度が違うだけでも相当難易度は変わるので、ビギナーはちゃんと初心者向けになっています。

 

 ボンバーマンシリーズお馴染みの氷の面で登場する、「ツルツルの凍った床」が、過去のボンバーマンやスーパーマリオのようにアクションゲーム定番の「滑りやすい床」ではなく、

 一度乗ったら壁にぶつかるまで止まれないポケモン仕様になっているのも極めて革新的です。

image5
↑まさかのポケモンジム。

 

 しかも、マップによっては止まれないまま崖から落ちて即死(1ミス)します。初めて落下死した時は衝撃を受けました。

 開発者の「できればノーミスでクリアさせたくない」という中学生の作ったマリオメーカーステージみたいな殺意を感じます。

image4
↑この場所から左右どちらかに動いた時点で1ミス確定。

 アナログスティック操作に拘ったと開発ブログで語っている割に、滑る床に斜めに入っても上下左右のどれかにしか進めないというちぐはぐさもチャームポイントです。

 

 ストーリーモードのボスはさらに苛烈。というか、上記のCPと同じ強さでさらに特殊ボムを持っているのだから、強いに決まっています。

 特に最高難易度の「エキスパート」になると、火力もボムも移動速度もMAXなので、まともに追い詰めるのも不可能です。セクシーボンバーはマップの狭さも相まって特に厳しい。

 ここまで手に汗握るボス戦はスーファミ時代にもなかったような気がします。まさにボンバーマンエキスパートのための鬼畜難易度です。1ミス覚悟で突っ込めば楽に突破できますが。

 凶悪ボンバーを倒した後に待ち受けるロボット戦も普通に強いので油断はできません。特にワールド4~6のボスをノーミスで倒すのは至難の業でしょう。

 

 一応、(難易度を問わず)1周クリアすると凶悪ボンバーを自分の操作キャラとして使えるようになるので、多少クリアしやすくはなりますが、本当に多少です。

 というよりも、後半のボスステージに関してはプラズマボンバーでの挑戦を前提にデザインしたのではないかと疑いたくなるほどダメージが入りません。

 ミスしても(コンティニューしても)アイテムが失われない、制限時間がない、体力が2以上ある敵が(ボスロボット以外に)いない、という部分で過去作よりは優しくなっているものの、単純な敵の強さはシリーズでも屈指かと思います。

 過去のスパボンと違い、「リモコンボム」「ソフトブロック通過」「一定時間無敵」などのチートアイテムが存在しないため、楽に攻略する方法が一切ないというストイックなゲームデザインにも痺れます。

 ただし、これは決して悪いことではなく、簡単にノーミスクリアできない難易度だからこそやり込み甲斐があるというのもまた事実。

 私の場合は、何度もゲームオーバーにさせられた思い出こそがボンバーマンの醍醐味だと思っているので、2017年にこのストイックな難易度で心を折りに来たことは歓迎したいです。

 

ファンの期待とのミスマッチ

 ここまでこのクソ長い記事を読んできた方ならだいたいわかっていただけたのではないかと思いますが、

 本作はコンセプトレベルから細部に至るまで、スパボンシリーズの良い面も悪い面もきっちり受け継いだ作品となっています。

 もちろん過去作より遊びやすくなった部分もあれば、劣化した部分もありますが、そういった試行錯誤をしている感じもまた、スパボンの続編としてしっくりきたりもします。

 それなのに、何でここまで叩かれているのか?

 そもそもオフラインで遊ぶ相手がいる環境にいる人が少ないとか、ヘキサドライブが公式ブログでハードルを上げすぎてるとか、KONMAIが嫌われすぎてて何かやらかしただけで袋叩きにされる土壌があるとか、いろいろ理由があるとは思いますが、

 最大の理由は、「単なる新作以上のモノを期待していたファンに応えられなかった」ということでしょう。

 

 開発元のヘキサドライブは公式ブログで

「スーパーボンバーマン R」は「Nintendo Switch」のローンチの
完全新作ソフト、さらにフルプライスのパッケージです。
メインターゲットには従来のシリーズファンも多く占めています。
しかし、バーチャルコンソールのように忠実に移植再現するのみでは
上記の購入者の皆様の「期待」には十分応えられないでしょう。
なぜなら、シリーズの最新作に対する期待とは
 ・これまでと「変わらない」体験を得られるかという疑念と不安
 ・これまでを「超えた」体験を得たいという欲望
の2つが表裏一体になったものであり、本当に移植して再現するだけでは
後者を充足できずに「古い、期待外れ」の印象に映ってしまうためです。

 と語っていますが、その壮大な目的意識とは裏腹に、

 まさにここに書かれている通りの期待外れな最新作に陥ってしまっている、というのが私の評価です。

 

 例えば、『Newスーパーマリオブラザーズ』や『ドンキーコングリターンズ』のように、過去作のコンセプトを継承しつつも現代に合うような形に昇華させた完全新作、

 もしくは『スマブラ』や『どうぶつの森』の最新作のように、過去作の要素をできる限り網羅した集大成にして決定版、

 そういった、シリーズ最高傑作のようなクオリティを期待してこの『スーパーボンバーマンR』を買うと確実にガッカリします

 スパボン以降のシリーズで当たり前になった要素の多くが当たり前のようにオミットされ、最近のゲームの定番に逆行したハードな難易度のストーリーモードが襲いかかり、一度ステージを選択するとリタイアする方法が自滅を繰り返すしかないなどの不親切な仕様がそこら中に転がっています。

 いくら開発側が「スーパーファミコンの5作を」元に作ったと言っても、これが『スーパーボンバーマン6』として1998年に発売されていたならともかく、2017年にシリーズ最新作としてNintendo Switch向けに出た以上は、手放しに絶賛することは不可能です。

 しかし、それを理由にクソゲー認定されてしまったり、「ボンバーマンというIPをダメにした」とまで言われてしまうのは、ちょっとアンフェアではないか、とも思うのです。

 この作品は、どの要素を見てもスーパーボンバーマンシリーズの平均点くらいは取れているのですから。

 

 シンプルかつ荒削りなゲーム内容は、DSやWiiなどの近年の作品よりも確かにスーパーボンバーマンに近く、

 特に手ごたえのあるストーリーモードは最近のボンバーマンに足りなかったものなので、個人的には十分に評価できる作品だと思っています。

 それなのに、「オンライン」「操作性」という目につきやすい欠点がいくつかあるからといって、その作品自体が全否定されてしまうのはあまりにも悲しすぎると思い、この記事を書いています。

 もちろんこの記事に書かれている要素を見て「やっぱり買わなくてよかった」と思う方もいるかもしれませんが、そうでない方もいるはずだと信じています。

 

 そして、余計な要素を削ぎ落としたプレーンなボンバーマンであるということは、新作で発展する余地がたくさん残されているということでもあります。

 スーファミ時代のように1年に1作とは言わないまでも、2~3年に1作くらいのペースで新作が出たら最高だし、DLCでステージやモードの追加なんかがあればもっと最高です。

 なので、私から言えることは、ボンバーマンシリーズがこの作品を最後に再び墓に埋められないためにも、『スーパーボンバーマンR』を買って遊んでください、ということです。

 操作遅延などの悪評を見て不安になっている方もいるかもしれませんが、ボンバーマン本来の持つ楽しさはちゃんと再現されていますし、おすそわけプレイの楽しさもちゃんと味わえます。一緒にSwitchで遊ぶゲーマーの友人や家族がいる場合、少なくとも4月末までは買った方が絶対に良いゲームです。

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 なぜかAmazonでもう品切れになっていますが、DL版で買っても良いゲームだと思います。パーティー向きだし、容量もそこまで重たくないので。

 

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追記:4/21アップデートについて

 4月21日に大規模なアップデートが行われ、この記事に書いてある不満のほとんどが解消されました

 ・対戦ステージの追加、「ギンギンパワー」「マックススピード(イダテン)」の復活

 ・3Dマップのカメラ位置の調整が可能になる、スロープの見づらさが解消

 ・CPの強さを3段階から選べるようになる

 など。

 この記事の最後で「足りない要素が多いからこそ新作で発展する余地がある」と書きましたが、まさか今作で発展するとは思っていませんでした。

 正直なところ、この内容のアップデートが有料だとしても買っていたレベルです。

 これによって、元々合格点ギリギリだったボンバーマンRが十分オススメできる作品になったと言えるでしょう。

 『マリオカート8デラックス』がもうすぐ出るので、おすそ分けプレイの第一候補としては勧めにくくなりますが、それでも間違いなく買って損のないゲームです。

 

 6/29には、対戦ステージ追加、新ボンバーの追加、チーム戦追加など更なるアップデートが行われました。

 正直、発売から4ヶ月経った6月末に、バグ修正などではなくステージ追加やチーム戦追加といった内容の充実を無料で行うというのは、ビジネス的に見ればあまり旨味がないはずですが、

 それをきちんとやってくれるところに好感が持てます。

 ここまでのアップデートを無料で行うことを、発売前に告知していれば、反応も違ったのではないかと思いますが、

 このアップデートを繰り返した現在のスーパーボンバーマンRは誰が見ても良作と言える仕上がりになっています(私は発売当初も良作でなかったとは全く思っていませんが)。

 今後これ以上のアップデートが行われるかは未知数ではありますが、ぜひ多くの人に買って遊んでもらいたい1本です。

 

コメントへの返信

>ボンバーマンシリーズ大好きさん

 このアップデート後に返信を行うのはやや卑怯な気もしますが、私はアップデート前の時点から良作だと思っているのでその前提でコメントします。

今回のスパボン R、KONAMIにしては良く出来てると思いますし、結構自分的にはこのレビューに納得できる部分も多いです。

ただ、失礼ですが過大評価し過ぎてないかという印象です。

ストーリーを分析してみるとスパボンシリーズとの矛盾も発覚しますし(かなりタブー)、スパボンのどの要素を取っても平均点なんてあり得ません。
(むしろそれだけスパボンシリーズはレベルが高いのですが)
音楽もスパボンシリーズの雰囲気が感じられません。(それにしてもボンバーマンシリーズは最近になってくると、何故か竹間氏によるメロディーラインが帰ってこない…)

バトルゲームだけをくりぬいてみればスパボン6に相応しいのはセッティング項目等をみても『ボンバーマン(PS)』、『ジェネレーション』や『ストーリー』だと思います。
ノーマルゲームにおいても、あの『スパボン5』に続けるノーマルゲームとは到底言えないでしょう。

要は『スパボン6』は言い過ぎでは、ということです。

 ええと、むしろこちらの方がスパボンシリーズを過大評価しているのではないでしょうか。

 スーファミとDS・Wii以外のボンバーマンをプレイしたことがないので、『ストーリー』『PS』などとの比較はできませんが、

 スーファミ時代のボンバーマンシリーズって、2まではみそボンもなく、4まではみそボン復活もなく、セーブファイルもなかったゲームですよ?

 「スパボン6というなら5から劣化しているのはおかしい」ということかもしれませんが、それにしたって3に登場したルーイが4で消えたりしているわけで。

 ノーマルゲームの近年稀に見る難易度の高さ、設定項目の少なさも含めて、しっかりとスパボン6です。

 ギミックのなかった1は別として、2の落下死するトランポリン、3のピラミッドや雪玉などの即死ギミックだって、今作で初登場だったら間違いなくクソ扱いされてますよ。

 音楽については、作曲者が変わる以上完全な再現は無理でしょうし、メロディー自体を引っ張ってくるのは権利関係の問題もあるのではないかと思いますが、

 個人的には、モリモリスターのコミカルな曲調なんてまさにスパボンシリーズの雰囲気を継承できていると思います。あとは人それぞれの感じ方の問題でしょうが。

 この方のいうスパボンシリーズのレベルの高さは「思い出補正」の一言に集約されるでしょう。

 

 結局のところボンバーマンの面白さは「いつ、誰と、どんなテンションで遊ぶか」に大きく依存するので、

 スーファミ版の発売当時に遊んでいた人たちがRを認めることはあり得ないのでしょうし、

 こういう記事を読んでいただいた方でもその認識が覆ることはないのだなと思いました。

 

 ……ということを書いたのですが、改めて読み返すとなんでこんなにキレてるのか全然わかりません。ヤバい奴だ。

思い出補正ではなく、今現役でスパボンをやってます。というかスパボン世代じゃないんです。
※21世紀生まれなので…………。
いやあの、誤解されると困るのですが、スパボン Rやこの記事を悪く言ってる訳じゃ………。

※上のコメントにも、別に「スパボン Rがクソゲー」とは書いてません。
むしろ、「スパボン Rはクソゲーだ」と言っている人を皮肉っていたんですが……!分かりにくかったでしょうか。どうもすいません。

色んな作品を遊びましたが、ハドソンのノウハウが生きたスパボンシリーズやPCエンジンの頃がやはり至高であり、そこに初めてコンシューマーでボンバーマンを発売したKONAMI、初めて開発したヘキサドライブが並ぶのが困難であるのは当然ではないでしょうか。

 PCEはやってない(Wii UのVCで94やった程度)ですが、スパボンシリーズ確かに面白いし、世界観からBGMから良い出来だったのは言うまでもありません。私も厳密にはスパボン世代ではなく、本来ならGC世代ですが、家にGCがなく、スマブラDXやエアライドを一緒に遊ぶ友達もいなかったので家にあるスーファミで弟か母親と延々ボンバーマンやってました。

 そういうわけでスパボンシリーズ、確かに楽しかったと思ってますが、じゃあ時々ネットで言われる「スパボンRやるより昔のボンバーマン移植した方がマシだった」というのは絶対そんなわけないと思ってるんですよ。

 スパボンの「セーブできない」は、もちろんそれを前提にしたゲームバランスだから欠点ではないけど、今の時代にそんなもの出したら不評に決まってるし。

 「セーブできないことが前提のゲームバランス」と「セーブの搭載」がバッティングして難易度調整に失敗してるのをボンバーマンDSとかで見てきてるので、今回のRはむしろハドソン時代より全然うまく調整できてるなー、という感覚なんですよね。

 ぶっちゃけスパボン2のトランポリンとか、3のピラミッドとか、スーファミ時代にだってなかなかのクソギミック多かったですし。それを楽しんで受け入れていたかどうかは心持ちによるものだと思うんですよ。

 あとBGMとかキャラデザも……「好きじゃない」ならわかるけど「欠点」って書かれると、ん? ってなっちゃいます。スパボンのBGM大好きだけど、RのBGMも好きですよ。デザインはまあ時代の変化ということで……というか、個人的にはキャラデザの良し悪しでボンバーマンを評価したいと思わないのでノーコメントです。

 欠点を差し引いても良作、という点で意見は一致しているようなので、こちらも不必要に喧嘩をふっかける書き方になってしまって申し訳なかったです。

 

>まさひろりん さん

自分は10年以上前にパソコンで流行った、ボンバーマンオンラインが大好きだったので、
今作の発売は嬉しかったんですが、やはり評判の悪さに購入を躊躇してしまっていました。
でもこの記事を見て、昔は色んな不自由がありながらも、ゲームを楽しんでいたことを思い出しました。

今はアップデートもされたみたいなので、今更ながら購入しようと思います。

 ありがとうございます。こういう方が一人でもいたならこの記事を書いた価値もありました。

 今作、コナミが嫌いすぎて粗探ししながら見てる人が結構いたっぽいのは本当に勿体ないなあと思ってます。欠点も含めてボンバーマンだし、そういうのを楽しめる人にオススメです。

 ピラミッドヘッドボンバーの「触れただけで相手を呪い殺す」とかいう能力、普通に考えたらめちゃくちゃですけど、その理不尽さも友達との会話のネタにできるのがローカルプレイの良いところですし。

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