フラワー・ストーリー‐本編 14年前

フラワー・ストーリー 第28章

めぐみは、あの時私たちと反対側の岸に流されたらしい。  私たちの事を捜せなかったので、仕方なく一度地底の湖に戻り、それからいくつかの基地を壊滅させながらこの基地へ向かい、終わった所で私たちを見つけたという。 「でも、よく3つ目のところへ行けたわね……」 「あれは、本当にラッキーだったのよ。ぎりぎりのところで助けが入ったし」 「そう。ところで、あんたたちは『魔の火山』に行くんでしょ?」 「ええ、そうよ。めぐみは?」 「ま、あたしも忙しいわけじゃないしね。ついていってあげるよ」 「ありがと!」  めぐみがついてきてくれると、とても頼もしいし、嬉しい。  だって、二度と会えないと思っていた仲間だから……。 **********************  2日が経った。  山を順調に登っていく私たちに、問題はなかった。  しかし、順調は順調なのだが、時々めぐみの表情が暗く見えるのが気になった。  そして、その理由を聞くため、私は夜、美羽が寝た後に、また1人で一睡もせずに見張ってくれているめぐみに問いかけた。 「ねぇ……」 「どしたの?眠れない?」 「違う……めぐみ、最近悲しそうなのはどうして?」  その事を告げると、めぐみの顔がやはりこわばったように見えた。 「やっぱり、そうよね……どうして?」 「………やっぱり、真衣は本当に真実を見てるよね……」  そういって、めぐみは一呼吸置いて、続けた。 「なんかさ、真衣や美羽といると、失った時間の事を考えちゃうのよね~……。  前に記憶喪失って言ったじゃない?  実はね、あたし3歳の頃に地球人に誘拐されたみたいなんだ」 「え!?でも、3歳の頃って、まだ地球人は来てなかったんじゃ……」 「違うの。  だって、考えてもみてよ。地球人が侵攻して来たロケットやらUFOやら、見た人はいないじゃない」  確かに、なぜかその瞬間だけは、誰も見ていなかった。  気づいたらアーチの主要都市が攻め落とされていたのだ。  それは、地球人の最大の謎の一つとされていた。 「地球人は、アーチと地球を結ぶ、魔法の連絡通路を使ってここへ来たのよ。  まず第一陣が小型UFOを使って極秘にアーチに乗り込み、調査をする。  次に、そいつらはアーチで労働力となる奴隷、それも命令を簡単に聞きやすい子どもを誘拐して集めた……」 「その奴隷の一人が、めぐみなのね……」  私は、とても哀しいその事実に、強い衝撃を受けていた。 「その鏡は、昔地球から四人の子どもたちが間違ってワープして以来、一度も使われていなかった。  強い魔力があったから、悪用されないように、地球側では粉々に砕いて、破片も厳重に保管されていた。もちろん、アーチでも極秘のうちに警備されていた。  それでも、地球人はそれを盗み、科学の力で修復させた……」  そこでめぐみは一息置いて、続けた。 「奴隷は家族を恋しがらないように、記憶を抹消される。  鏡で何億人もの人をワープさせるためにはエネルギーが必要だから、奴隷を使ってエネルギーを溜めていたの。  本当は人力でエネルギーを発生させ、それを貯蓄して鏡に注ぐ事にしていたんだけど、思いのほか地球環境の悪化が早くて、時間がなくなったから、もっと手早く鏡に力を注ぎいれる方法を取る事になったの」 「その方法って……?」 「人を殺して、その霊力を注ぎ込む」  その言葉に、私は愕然とした。 「そんな事、いくらなんでも──」 「したのよ。  そしてあたしは、運よくそれを盗み聞きして、脱走した。  でも、あたしと同じ奴隷とされた人は、たくさん殺された。  そしてその1週間後に、地球人はアーチに来た。  それ以来、あたしは記憶と幸せと平和、そしてたくさんの命を奪った地球人に復讐するため、地球人を攻撃してるの……」  それが、めぐみの全てだった。  記憶を全て奪われ、7年間働くだけの生活。  地獄のようなその生活は、想像を絶するほど耐え難いものだろう。  ところが、めぐみが発した言葉は、意外なものだった。 「あたしは今まで、記憶を奪われて働かされる事も、すべて運命だって割り切ってきた。  いいとか嫌とかじゃなくて、あたしの幸せよりも、地球人を撃退するという任務を優先するのがあたしの運命だって……。  でも、あんたたちと一緒にいると、幸せなんだよな~……」  幸せであるからこそ、不幸が際立つ。  それを知っているからこそ、めぐみは辛いのだろう。  幸せと辛さという、字だけ見ると似ているようで全く違う言葉。  しかし、その本質は、同じなのだ。  幸せを知りながら幸せを手に入れられない。  幸せを味わった事がありながらもそれ以上味わう事を許されない。  そんな、自分ではどうにもできない中途半端な幸せが何よりも“辛い”のだろう。  私は何も言えなかった。 ...

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フラワー・ストーリー 14年前

いろいろと思いの尽きない第4部完結

こんにちは。  何とかフラスト第4部を完結させました☆  第4部は、全体的に過去描写が大きいです。  第5部はもっと重要な秘密があり、  第6部は最後で、もっともっともっともーっと重要な秘密があるんです。  そのため、裏的な秘密はこの第4部で明かしちゃうんです。  で、そんなつなぎ目的な第3.5部~第4部。  予告なんてできません!!    《第26章》「とっても描きたかったエピソード&過去伏線」  この物語でよく使う言葉、「過去描写」「過去伏線」。  結構過去に重点をおいてます。  ・・・でも、ちょっと人物が少なかったかな・・・?  と今さら考えてたり。  10人未満はやばいですよね・・・(^‐^;)  デスダーといい、前小説といい、史上最低です。  その代わり、一人ひとりにかけてるのは半端ないですけど。  たまには普通のラブコメとかやってみたい・・・とか思ったり。  心理描写苦手なんで、無理ですけどorz  ・・・話を戻して、過去伏線が入ってます。  結構目立ってますが、ま、気にするな☆  第30章あたりで完全に明かされるから☆☆  そうすると、実は第1部から入っていた伏線が明らかになるんですよ。  実は第1部が、一番この第4部への伏線が多いんです。  なぜなら、このエピソードをいつ入れるかわからなかったので、初めのほうから用意していたわけで・・・  ・・・話を戻して、償いがあまりにつりあわない気がするのは気のせいです☆  別にまた出るわけではありません。  もう渚のほうは出番は終了です・・・と言いつつ第6部でもう1回出す予定だったりして。  しかも、渚のほう・・・という事は?  そう、もう片方にも出番が残されてるんです。  で、あの「死に方すら伏線男」もいよいよ・・・  命を捨ててまで作った伏線がついに回収されるわけなんですねwww  やば、これじゃ全然フォロー終わらない・・・  本気で来週金曜(前ブログの小説89話&マンガ16話を完全フォロー)が心配です・・・orz    《第27章》「いっつも秘密を引っ張って章を終えるめぐみ」  というわけで、復活しました!  夢人と入れ替わりなんです。  それもプチ過去伏線ですけど☆  伏線の数は結構多いですよwww  で、なんか顔文字・2ちゃん語にだんだん長けてきた気がしますが、とりあえず無視して。  この物語のテーマとして、「環境問題」「友情と成長」を挙げていますが、  隠れテーマとして「幸せ」を入れてあるんです。  過去の幸せと、現在の不幸。  地球人の幸せと、アーチ人の不幸。  ほら、見えてきませんか???  幸せの対比が・・・。    やっとコメントも来たので・・・  クロス小説をやるつもりだったんですよ。  でも、無理です。  ハヤごとを知ってる人が少なすぎます!!!!!!!!  ここは、もう少し中学校でハヤごとを広めて、  それからにしようかな・・・みたいな。  アニメがあれば、それを見せられるんですけどね・・・。  マンガは学校に持っていけないし、第一買ってないし。  お年玉でまとめ買いするつもりです・・・  そうしたら、本格的にハヤテの二次小説に入ろうかな・・・  とりあえずは、  皆さん読んでみてください!  ここに第1話へのリンクを貼っておくので・・・ http://www.websunday.net/manga/hayate/read/00101.html  ま、とりあえずはフラスト第5部を頑張ってみますよ。  ではまた~☆(忘れた頃に使う前ブログの挨拶) ...

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フラワー・ストーリー‐本編 14年前

フラワー・ストーリー 第27章

GPSを使って調べてみると、そこの近くには魔の火山と呼ばれる、巨大な山がある事がわかった。  第4の魔境、魔の火山。  巨大な山で、火口付近には溶岩でできた洞窟があるらしい。  場所は、ちょうどこの近くだ。 「でも、この辺りって、何があるんだっけ?」 「確か、地球人の基地がいくつか……。地熱を利用した発電で兵器を作ってるらしいよ」  地球人が近くにいるなら、油断はできない。  そう思い、私たちは歩くスピードを速めた。  夢人と別れてから、3日目。  私たちは未だに夢人、そしてめぐみの事を考えていた。  この旅に関わった人たちが次々と犠牲になっていくのは、耐えられなかった。  しかし、悲しんでばかりでは何も始まらない。  残念ながら、人は自分の人生を自由にする事はできない。  母が私に言った事と矛盾しているかもしれないけど、それは事実だ。  この世界には、無数の命があって、無数の意志がある。  全員の意志を全て尊重させる事はできないから。  幸せと不幸は表裏一体。  幸せを感じる人がいるなら、必ず不幸を感じる人もいる。  地球人が新たな環境で幸せに暮らしている時、アーチ人は奴隷として不幸な暮らしを送っている。  私たちが不幸に苛まれても、地球人が幸せでいる限り、私たちの不幸は終わらないのだから……。 **********************  魔の火山に近づいている頃、私たちの近くに地球人の基地がある事がわかった。 「どうする?基地に侵入して、捕まっている人を助ける?」  自分の叔母が同じ目にあっていただけに、美羽はそういう立場の人を助けたいと思っていた。  だが、私の答えは冷たかった。 「花びらを早く集めた方がいいわよ」 「そう……確かに、ここで私たちが捕まって、3枚の花びらが全部地球人に奪われたら、元も子もないしね……」  美羽が自分に言い聞かせるようにそう呟くと、突然背後から声がした。 「あれ?  あたしの知ってる人たちだと思ったんだけどな……あたしの知ってる人たちは、こんな冷たい事言わないはずなんだけど……助けるはずなんだけどな~……」  その声を聞いた瞬間、私はすぐにわかった。  間違えようのない、この声。  私たちが地底の湖で失ったと思っていた、無二の仲間……。 「めぐみ!!」 「久しぶり、真衣、美羽。元気にしてた?」 「元気って……あの湖で……溺れたと思ったのに……」 「え?あたしが、あんなんでしぬわけないじゃない。  それより、何なの、さっきの発言。捕まってる人たちを見捨てる、だなんて……らしくないわね」 「じゃあ、花びらがなくなってもいいって言うの!?」  ついかっとなってしまった。 「いや、そんな事を言ってるんじゃない。  あたしが言いたいのは、あんたたちの心境の変化の事。  あたしは知らないけど、旅に出る前のあんたたちなら、迷わず助けたんじゃない?」 「それは……」 「まあ、いいけど。だって……」  めぐみは一呼吸置いて、にやりとしていった。 「基地は、あたしが壊滅させたから」 ...

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フラワー・ストーリー‐本編 14年前

フラワー・ストーリー 第26章

「真衣……」  久しぶりに見た、母の姿。  少しぼやけてみえるけど、それ以外は全く変わっていない。 「会いたかった……」  私は母を抱きしめようと、駆け寄った。  しかし、私は母に触れられず、そのまますり抜けてしまった。 「ごめんね、真衣……私は、あなたとはもう、住む世界が違うのよ……」 「……じゃあ、私は、もうお母さんと一緒にはいられないの?」 「ううん。そんな事ないわよ……」  母は、今までで飛びっきりの微笑を浮かべた。  再会して、初めての笑顔だった。 「真衣も、私たちの世界に、来ればいいのよ……」 「……え?」  衝撃的な発言に、私は一呼吸置いて聞き返した。 「それって、つまり……」  わかっていた。  母は、すでに死んでいると。  霊魂神殿で再会した時から、すでにわかっていた。  住む世界が違う……つまり、母はすでにこの世の人ではないのだ。 「……痛いんでしょ?苦しいんでしょ?」 「ええ、ちょっと苦しいかもしれないわ……でも、一瞬よ。そうしたら、真衣はまた、ずっと、そう、永遠にお母さんと一緒にいられるわよ?」  その言葉には、惹かれた。  すでに夢人も、めぐみもいるかも知れない世界。  今さら私が生き残った所で、何ができる?  それよりも、永遠に侵されない世界で、母と幸せに過ごした方がいいのではないのか? 「さあ……用意はできてるわよ……」  母は、そういって鏡の向こう側から手招きした。 「早く、おいで、真衣……」  私は一歩一歩、鏡へと近づいた。  苦しみの無い世界へ、行ける……。  そう思ったその時、不意に私の頭に、美羽の顔が浮かんだ。  あどけない顔で、笑う美羽。  美羽は、まだ生きているのだろう。  両親を失ってからも、常に笑顔を絶やさずに、必死に自分を偽り、耐えていた美羽……。  それに、耐えられなくなった時、美羽はどうしたか?  美羽は、私に助けられた。  美羽は、私がいたからこそ、死の誘惑を断ち切った。  じゃあ、私は?  美羽には、私がいた。  私にも、美羽がいる……。 「行けない」 「……え?」 「私は、行けない!」  母の顔から、笑みが消えた。 「お母さんの事、嫌いになったの?」  その言葉は、何よりも、私の心を揺さぶった。  しかし、私の決心はそんなに弱くない。 「違う。お母さんの事は、大好きよ。  でも、だからこそ、お母さんにもらった、大切な命だよ?大事にしないといけないじゃない……」  母は、しばらく哀しそうな顔をしていたが、やがてふっと笑った。  自然な笑みだ。 「わかったわ……あなたの人生だものね。  あなたは、自由に、あなたが思うように、生きてちょうだい、真衣。  私も、見守ってるわよ……」  そういうと同時に、母の体、いや鏡が、眩しく発光を始めた。 「え、何!?」  私は眩しさで手を覆った。 《最後に、あなたにせめてもの償いをするわ。あなたを残していった、償いを……》  私の体を、光が包み込んだ。 **********************  気がつくと、私は霊魂神殿の入り口に倒れていた。 「うっ……」  私が起き上がったとき、遠くから私を呼ぶ声がした。 「真衣!」  それは、美羽だった。 「ここにいたんだね?心配したんだよ?」 「ありがとう、美羽……」  私の目から、一筋のしずくが零れ落ちた。 「え!?なんで泣いてるの!?」  美羽は事情を知らず、ただ戸惑っている。 「私は、美羽のおかげで、今ここにいるんだよ……ね?」 「うん……あたしもだよ☆」  こうして、私たちはお互いの友情を深め、第四の魔境へと出発した。  美羽も真衣と同じように不時着し、どこにいるかわからなかったが、不思議な声が聞こえたので、その声に従って進むと真衣に会えたという。  きっと、母が、美羽を呼び寄せてくれたのだろうと、真衣はどこにいるかわからない、しかし確かにいる母に感謝した。  しかし、心の底で考えているのは、夢人の事だった。 ...

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フラワー・ストーリー 14年前

なかなか厳しい第4部の終章

こんにちは。  力作2章のupです。  どちらも結構重要な章だったり、違ったり?    《第24章》「夢人、再登場!そして即さよなら」  あれが爪の音だとは誰も言ってません[E:smile]  夢人、いなくなるの早いです。  でも、意外と最後の最後で主役を掻っ攫ったのも夢人で、  ついでにとてつもなくカッコいい役回りなのも夢人だったりして。  この部では、出番が少ない割に夢人の活躍が結構目立ってます。  でも、不幸なのも夢人なわけで・・・  地球人の猛攻は凄まじかったらしいです(他人事)  夢人、ガンバ☆  主役はそう簡単に死んでもらっちゃ困るから☆    《第25章》「Our Story’s Worldの真骨頂」  全ての話が繋がってます。  この第25章だけで、次回作への伏線を入れてあります。  +デスダー、前ブログの小説の伏字なしパロディ入り。  できればそういうツッコミを美羽にさせたかった・・・  「同じ作者だったら伏字いらないんだね」  こんな言葉は順番の入れ替えによって没になりました。  最初の予定では、霊魂神殿も魔境に入ってました。  しかし、あまりにストーリーが続かなさそうなので、諦めて3.5部に変更。  霊魂神殿はゼルダの伝説パロです。  ただ、この霊魂神殿も一番描きたかった話の1つでもあって・・・  だいぶ前に言いましたよね?  名前があって生きてる全てのキャラは2回出す、と。  まあこの人は特例でもあるのですが・・・  とにかく、そのために早期に消したんですよ。  予想外でしたよね?このタイミングでの再登場。  こんな感じで、忘れた頃に再登場!というのをやりますので。  伏線にばっかり気をとられないでくださいね☆ ...

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フラワー・ストーリー‐本編 14年前

フラワー・ストーリー 第25章

**********************  気がつくと、私は倒れていた。 「あれ、ここって……」  そこは、霊魂神殿という場所の入り口だった。  霊魂神殿……まあ、そこは魔境というよりは、都市伝説的な物だった。  ここがなぜ霊魂神殿と呼ばれているか……それにはまず、300年前に起こった、『ソルジットの聖戦』について説明しないといけないだろう。  300年前、アーチを含む小宇宙〈ソルジット系〉の惑星が、ダークネスという魔王に襲われた事があった。  その時は、かなり短い期間でダークネスは魔法の鏡の力によって負けたらしいんだけど、その間はソルジット系全体がダークネスとの激戦を繰り広げていた。  ちなみにその鏡は、ダークネスがこの宇宙からいなくなった後で破壊され、魔力を失った後破片はアーチに預けられたらしい。  アーチはダークネスの侵略の主な標的にされていなかったため、結果的にほぼ無傷だったのだけど、それでもダークネスの子分が3回くらい攻めてきたらしい。  その時に、アーチを守るための兵士たちの拠点とされていたのが、霊魂神殿だ。  何でも霊魂神殿は、ダークネスの魔力によって霊界への入り口を開けられたらしく、その時に神殿にいた3000人以上の兵士が霊界に吸い込まれた。  霊界は、ダークネスの力が最も強くなり、同時にすべての世界で共通に入り口を開けられる場所だった。  私たちがいるこの全ては、いくつもの世界に分かれている。  この世界は、他の世界からは宇宙と呼ばれている。  地球人はまだ科学が全てだと信じ込んでいるので別世界の存在を否定しているが、それは嘘だ。  ダークネスの存在が、何よりもの証拠である。  ダークネスは世界から世界へと渡り歩いて、気に入った世界を侵略しようとしているらしい。  本当は、闇の世界を拠点としているらしい。  宇宙、天界、魔界、モルディス、デモ●ータなど、いろんな世界は、それぞれが独立していて、何らかの魔法がないと移動できない。それも、ある種のつながりがある世界同士のみが可能で、場合によっては目的の世界に向かうために中継地点として100個以上の世界を渡り歩かないといけない場合もあるらしい。  ただし、たくさんの世界がある中で、霊界だけは全世界と繋がっているらしく、この世界の死後の世界も、別世界の死後の世界も、全て共通らしい。  つまり、霊魂神殿には、すべての世界に繋がる入り口が開いているらしい。  この世界や、別世界で死んだ人の魂が霊魂神殿を徘徊しているらしく(そういう霊は自縛霊のように神殿に何らかの魔力で縛り付けられていて、霊魂神殿を出る事はできない)、それ以来霊魂神殿はおばけ屋敷のような場所として誰も近づかなくなった。  ちなみに、霊魂神殿は、残念ながら魔境ではない。  しかし、霊魂神殿には、もしかしたら何かがあるかもしれない……と思った。  まあ、単純に言えば好奇心だ。  私は、小さく息を吸い込むと、そのまま神殿へと足を踏み入れた。 「うわ~……本当に、おばけでも出そうな感じね……」  そこは、いかにも出そうな感じの、古びた神殿だった。  何本か倒れ、崩れかけた柱。  さびた剣。  クモの巣のかかったテーブル。 「でも、幽霊なんていないな……」  もしかすると、迷信だったのかもしれない。  300年も前の話だから、あり得ない話ではないだろう。  と、その時だった。  遠くに人影を見つけた。  その影は、ふらっとその先の開け放たれた扉の奥に消えた。  幽霊かもしれない。  しかし、私はそれ以上の、ある理由で、その影を無意識の内に追っていた。  なぜなら、その影は、ある人にとてもよく似ていたから……。  影を追って、かなりたくさんの部屋を通った私は、行き止まりの部屋の鏡の中にいる影を発見した。  思わず、声を上げて駆け寄った。  私の最も愛しい、そしてかけがえの無いその人物……。 「お母さん……!」  そう、その影の正体は、渚……つまり、私の母親だった──。 ...

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フラワー・ストーリー‐本編 14年前

フラワー・ストーリー 第24章

倒れたのは、怪物だった。 「え?」  私が振り向くと、そこには、夢人がいた。 「やっぱり、2人じゃ危険なんだな」 「夢人!?どうしてここに!?」 「その話は、後。ドリームウィングで開発したステルス機があるから、それで帰るよ。また運任せだと、危ないだろ?」  私たちが心底ホッとしたのは、言うまでも無い。 「イバサリ牢獄は壊滅した。まあ、すぐに立て直されるとは思うけど……。それで、少し美羽たちが心配になったんで、帰る途中に寄る事にしたんだ。反対方向だったけど、今はそうしてよかったと思ってるよ」  本当に、その通りだ。  夢人のおかげで私の命が救われたのだから……。  おそらく、美羽も1人では怪物は倒せなかっただろうから、本当に夢人には感謝しなくちゃ。 「で、これからはどうするつもりだ?僕は本部に帰るけど、2人だと危ないなら、ついていくけど……」 「大丈夫よ、別に。リーダーも副リーダーもいなくなったら、危ないでしょ?」 「まあ、そうだな。ところで、美羽たちは次はどこに行くつもりなんだ?」 「ええと……ここから一番近いのは……」 「この大陸には、もう魔境はない。それよりも、一旦本部に戻ってからの方がいいと思うけどな」  夢人に言われ、私たちは2ヶ月ぶりに本部に戻る事となった。 「そういえば、雪菜おばさんは?」  美羽が尋ねた。 「ああ、雪菜さんなら、ドリームウィングの北支部で戦士に配属された。あの歳でもかなりの強さを持っているから、もしかしたら北支部で最強のメンバーになるかもしれない」 「凄いじゃん。じゃあ、心配ないね」 「ああ。北支部には寄らないつもりだったんだけど、どうする?雪菜さんに一度会いたいか?」 「いや、いいよ。きっと、全てが終わった時、会えるから……どっちにしても……」  美羽の言いたい事は、何となくわかった……わかりたくないけど……。  そんな事を考えていると、突然機体が揺れた。 「!?」  急いで私が窓の外を見た。  すると、地球人の軍機があった。 〈ドリームウィングのステルス機を発見。我々は、裁判による殺人許可令に基づいて機体の撃墜を開始する〉  10機のジェット機が、なぜステルス機を発見できたのかなど、どうでもいい。 「どうするの!?」  美羽が夢人に聞いた。 「3機くらいなら対抗できるけど、これじゃちょっと危ないな……よし!」  夢人が案を出した。 「お前らは2人で、小型の緊急脱出用機で逃げろ」 「でも、夢人は?」  一瞬黙った後、夢人が呟いた。 「犠牲は、少ない方がいいんだ」 「え!?でも……」 「いいから、急げ!」  そういうと、夢人は何かのスイッチを押した。  ステルス機の床が開き、小さな空間が現れた。  夢人は、私たちが唖然としている間にその穴に私と美羽を突き落とすと、何かのスイッチを押した。 「たぶんそれは弱いから、1分くらいで壊れる。パラシュートの準備でもしてろ」  私たちが落ちた穴は、緊急脱出用機との連結部分だったらしい。  私たちは、夢人が遠ざかっているのが見えた。  今さらどうにもならないので、急いで私たちはパラシュートをつけた。  夢人の予想通り、脱出用の機は小型で弱いらしく、地球人の軍機に発見され、ミサイルで爆発した。  何とか爆発を受け止めるバリアに包まれていたらしく無傷だったが、バリアは時間差で崩れ落ち、私たちはふわふわと無抵抗に落ちた。  あまりに不規則なその動きは、地球人も予想できなかったらしく、地球人は私たちを諦め、──狙いを全て夢人に変えた。  夢人のステルス機は、トリッキーな動きで地球人を翻弄していたが、一撃を食らい、かなり不安定になっていた。  撃墜も時間の問題だろう。  そんな事を考えていると、風の影響で、美羽とも離れていっている事に気づいた。 「美羽!」  美羽は必死に何か叫んでいるが、聞こえない。  私の声も届いていないだろう。  こうして、私はまた、大切な仲間を、一気に2人失おうとしていた……。 ...

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フラワー・ストーリー 14年前

実は微妙に風邪気味のちょっと危ない更新

こんにちは。  腹をくくりました。  こうなったら23日までに第4部を完成させてupしますよ!  だって・・・それしかないし・・・  替え歌のストックなんかあるわけがないんですよ!  あ、そういえば今日のヘキサゴンのOA見たら、デスダーの替え歌の歌詞、微妙に違いましたね。  来週、アルバム買って即i podで聞きながら修正しますよ。  では、今日は久々の二本立てで。  というか、あんまり延ばしすぎると第4部の途中という微妙な所で切れてしまうので・・・  または3章同時upとか?    《第22章》「1分で次のを載せたい謎解き編」  いきなり着いて、寒いとだけいって特に何もせず謎解き。  ある意味今までの章で最低かも・・・orz  だからこそ2章連続で投稿したんですけど。  何も起きてないので、終わりで。    《第23章》「このまま1年ほど放置したい終わり」  はい、天邪鬼です。  前章は1分ほどで次のを投稿しましたが、  この章は1年くらいほっときたいです。  読者を焦らすのは著者の楽しみですから☆  バトル描写は、苦手です・・・  何か知らないんですけど、ぼくは不必要に描写を省いちゃうくせがあるんですよね・・・  執筆とは大半が削る作業らしいですけど、削りすぎて困ってます・・・。  最後の音は、先入観を捨てないと騙されちゃいますよwww    次章は、第3部完結編。  プラス第3.5部への架け橋です。  あと、23日までの日程を計算した結果、明日はとりあえず2章載せます。  ちょっと危ないかな?  予定では、第33~34章で第4部を終わらせます。  何とか帳尻を合わせて22日に第34章をupして、  そこで一旦フラストを中断。  そして、23日に前ブログの小説を載せて、  23、24、25(26)日で長々と解説を。  そして、25日は休日で余裕があるので、  そのあたりからクロス小説に入っていきたいと思います。  デスダーは、30日に第3巻upします。  フラストは、もし皆さんがどうしても中断してほしくなければ完結させる可能性もあるので、  どうしても読みたい方は・・・  コメントお願いしますm(_ _)m ...

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フラワー・ストーリー‐本編 14年前

フラワー・ストーリー 第23章

今、私たちは薄暗い道を進んでいる。  いや、道というべきものではないかもしれない。  そのくらい険しい道だった。  あの何の仕掛けもなさそうな、小さなほら穴と同じ洞窟だとは思えない。  下り坂だと思ったら上り坂になり、時々90度を超えるような道まであるので、すでに前に進んでいるのか後ろに進んでいるのかわからない。  幸い、壁を登るフックつきのロープを何本か持っていたが、それがなければ登るのは不可能だっただろう。  90度というのは平面状の場合だから、横にも多少進んでいる。 「もう、だめ……」  美羽が呟いた。 「頑張って……たぶん、あと少しだから」  あんな仕掛けがある以上、ここに花びらがあるのはほぼ間違いないだろう。  そして、あのほら穴から通路を延ばすとしても、こんな険しい道を続かせる事ができるわけがない。  私はあと少しで、花びらがあると考えていた。  そして、ようやくまるでフリークライミングのような高い壁を乗り越えると、そこには、透明に近い澄んだ水色の輝きを放つ、花びらがあった。 「これ、だよね……」  私はその花びらを手に取った。  その時だった。  それは、まるであの黄金色の花びらを取ったときと同じだった。  花びらの置かれている台の奥の闇から、ゆっくりと現れたのは……怪物だった。  見た目は巨人だが、尾があり、頭は熊。  ただし、まるで虎のような鋭い牙が生えている。  両手両足からは鋭い爪が生え、尾には無数のトゲがある。  そんな怪物が、2体。  勝ち目は無い。  そう悟った私は、花びらを急いでポケットにしまいこむと、美羽の手を引っ張って元きた道を引き返した。  きつい。  ゆっくり行っていた時ですらきつかったこの洞窟が、後ろから怪物に追われている時になって初めてその牙をむいた。  本気で死の危機を感じていた。  後ろからは、怪物が岩を崩し、壁を下りて追いかけてくる。  私たちは、必死に壁を下りて必死に恐怖から逃げた。  どのくらい時間がたっただろうか。  ようやくほら穴の出口が見え、私がほっと一息ついたその時……。 「きゃあっ!!」  美羽が突然転んでしまった。  どうやら、石につまずいたらしい。  後ろからは怪物が、チャンス到来とばかりに美羽に迫る。  私は、稔から奪った銃を構えて、怪物に発砲した。  怪物は銃弾に貫かれて痛みに顔をゆがめたが、すぐに向き直って美羽、そして私に近づいてくる。  銃弾が少なくなってきていたので、私はまず短剣を投げつけると、長剣を持って怪物たちに近づいていった。  美羽に襲い掛かる怪物のうち、1体の背中を私が斬りつけた。  怪物がよろめくと、美羽がさっと怪物の後ろに回り、蹴りつけた。  うっと倒れる怪物。  もう1体の方も、私の連続斬りで少しずつ体力を奪われていく。  美羽もそれに加勢し、ついに怪物が倒れた。 「やった!」  私たちが手を握り、喜んだ。  その時──。  倒れていた怪物が、起き上がって私の背後に立った。  それに気づいたときは、すでに手遅れだった。 「あ…………」  ひゅっという、鋭い音がした。 ...

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フラワー・ストーリー‐本編 14年前

フラワー・ストーリー 第22章

吹雪の島は、予想以上に広くて、寒くて、美しくて、寒くて、危なくて、そして──寒かった。  湖や川がすべて凍っているため、自由に動けるのだが、かなり広い上に、あちこちで吹雪が吹き荒れ、滑りやすくなっているため、かなり危険なところとなっていた。  私たちは、はぐれないようにロープでお互いの体を繋ぐ事にしている。  だって、そうしないと、猛吹雪の中では、1分ももたずにお互いの姿が見えなくなるだろうから……。  とはいっても、やっぱり何よりの問題は、寒さだった。  氷点下を簡単に超え、昼間でもマイナス20℃のこの島では、夜はそう簡単にはしのげない。  この島のどこに花びらがあるかわからないので、できれば島のあちこちで夜を過ごしたいのだが、寒さをしのげる洞窟が少ないので、夜にはそこへ戻らなくてはならない。  なんせ、夜の外の気温はマイナス40℃くらいなのだから。  そのため、1週間経ってもまだこの島の半分くらいしか見られていない状況だった。 「どうする?このままだと、先に凍死しちゃうよ?」  実際、2人は寒さで体温を少しずつ奪われている。  このままでは体力がなくなるか、食料がなくなるか。  どちらにせよ、いい未来が待っていないのは確かだ。 「どうする?島の上を全て見るのは、無理だよ……」  美羽が呟いた。  その時、私はある事を考え付いた。 「ねえ……もし、美羽が島に花びらを隠すとしたら、どこに隠す?」  美羽は、私の突然の問いかけに戸惑っていた。 「えーと……やっぱり、大陸から一番離れてる、反対側の、とびっきり深い洞窟の奥かな」 「そうよね、きっと探しにきた人もみんな、そう考えるわよね」 「……何が言いたいの?」 「私が思ったのは、固定観念を全て捨てたら、意外と簡単に見つかるんじゃないかな、ってこと」 「どういうこと?」  私は、今自分たちが座っている、ここでの冒険の拠点としているほら穴を見回した。  邪魔な石が無いし、床もつるつるだ。  頻繁に誰かが出入りしていたように見える。  いや、きっと、たくさんの人がここへ来て、すぐに去っていったのだろう。  寒さに耐えられず、また、花びらがどこにいるかわからなくて……。 「もし、この洞窟にあるとしたら?」 「え!?」 「こんな手ごろな洞窟があるなら、誰だって休憩場所にする。そして、それ以上の価値を求めない。  ここに入ったとしても、こんなに大陸に近くて、何の仕掛けもない洞窟に花びらがあるなんて誰も思わないでしょ?」 「そうだけど……ここは行き止まりだよ?」  私は考えたが、すぐにある事を思い出した。  同じ様に狭くて、ある方法で3倍以上に広がったほら穴に、私たちは行った。  それも、つい最近。 「それも、私たちを油断させるための罠かもしれないわ」  私はそういうと、目の前にある壁を調べてみた。  すると案の定、あの穴と同じ様にスイッチが見つかったので、押してみた。  すると、目の前の壁は左右に分かれ、目の前には道ができた。  私は美羽の方を振り返った。  美羽は呆気に取られている。  私は微笑んで、こう言った。 「道は、すぐ近くにあったわね」 ...

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