ユニバース・アドベンチャー ★2
YouTube: 緋色の空 ★2 Mysterious Mirror 「ルナ、ごめん!私が行こうとしたら、突然後ろから声をかけられて、それで……」 「なんでこんな面白そうな事、教えてくれないの?」 そういってほっぺを膨らませたのは、カナこと天宮香苗。 中学生にしては幼稚……じゃなくて、純粋な所がある。 小学校は違う学校なんだけど、中学で会って以来、なぜか懐かれている。 あたし的には妹の陽子と同じように扱ってるんだけど、本人は満足らしい。 「いや、そんなに大掛かりな事じゃないし……」 「なんでおれまで……」 そういって、ヒカルこと水沢ひかるはふうっ、とため息をついた。 この様子だと、カナに無理やり連れて来られたらしい。 ヒカルはカナと同じ学校から来た男の子で、あたしと同じようにカナに懐かれているらしい。 もちろんカナもヒカルもあたしたちと同じクラスで、ヒカルは学級委員をしている。 「……まあ、別に部屋を覗くだけだから、一緒に来てもいいけど……」 「ありがとっ♪じゃ、さっそく……」 そういって、カナはさっさと部屋の中に入ってしまった。 「………」 あたしはサエと顔を見合わせ、それから中に入った。 部屋の中は、埃の積もった戸棚や、くもの巣が張っているシャンデリア、光を反射して輝く鏡、濁った薬品など、古そうなものがところ狭しと並んでいた。 どうやら、ただの物置だったようだ。 「うわぁっ、古いものがたくさんあるね~!」 「いや、新しかったら雰囲気に合わないでしょ?」 「ああっ、これ年代もののオルゴール!きれー……」 「……とりあえず、特に秘密っぽいものはなかったわね……。 もういいし、帰らない?」 あたしはそう提案してみたが、カナが首をかしげた。 「でも、おかしいものはあるでしょ?」 「何が?」 「ほら、この鏡」 それは、きらきらと輝く、普通の鏡だった。 「え?普通の鏡でしょ?」 「そんな事ないよ。だって、こんなに汚れてる部屋なのに、何でこの鏡だけこんなに光ってるの?おかしいでしょ?」 「……!!」 いわれてみれば、確かにその通りだ。 普通なら、鏡だって埃が積もっているはずなのに、汚れた形跡が全くない。 「でも、この鏡だけ定期的に磨いてる、って事も考えられるぞ」 「うぅん、それはないよ。だって、床にも埃が溜まってるもん。誰かが出入りしてるんだったら、床に足跡がつくでしょ?」 そういえば、カナって意外と頭いいんだっけ……と、あたしは思い出した。 「でも、別に何でもいいでしょ?早く帰らないと、親に怒られるって……」 「そうだな。おいカナ、さっさと行くぞ」 「えぇ~、ちょっと待ってよ~。この鏡、もう少し調べた……きゃあっ!」 突然カナが悲鳴を上げた。 あたしはカナの方を向いて、唖然とした。 なんとカナの左腕部分が、鏡に吸い込まれているのだ! 「助けて~!!」 近くにいたヒカルが急いでカナの右腕をつかみ、カナを引っ張り出そうとするが、力が強いらしく、なかなか抜け出せない。 あたしとサエもヒカルの後ろについたが、ありえないほどその引っ張る力は強く、完全に引っ張られてしまっていた。 カナはすでに左半分が呑み込まれている。 「頑張って!!」 あたしは懸命にみんなを励まし、自分を励まして、この鏡から抜け出そうとした。 しかし、鏡の力は、そんなあたしたちの抵抗をあざ笑うかのように、引っ張る力を倍にしてきた。 「うわあああああああっ!!」 その力に耐え切れなくなり、カナが力を抜くと同時に、あたしたち4人は一気に鏡の中に吸い込まれてしまった。 ...