映画・音楽・小説の感想 4年前

米津玄師『脊椎がオパールになる頃』感想(1/19・徳島)

1/19、米津玄師ワンマンツアー2019、アスティとくしまでの初日公演に参加してきました。  思ったことなどを適当に書いていくのですが、このブログは基本的に「誰も読んでいない」「読むとしたら未来の自分だけ」という前提にあるので、ネタバレなどは全く気にせずに書き記します。なのでこれからツアー行く方は読まないようお願いします。  ちなみに前回行ったライブの感想です。3年前。

セットリスト

 ネタバレを気にしないのでいきなりセトリ。某所から。
    flamingo LOSER 砂の惑星 飛燕 かいじゅうのマーチ アイネクライネ 春雷 Moonlight fogbound amen Paper Flower Undercover 爱丽丝 ピースサイン TEENAGE RIOT Nighthawks orion Lemon (アンコール) ごめんね クランベリーとパンケーキ 灰色と青

演出がヤバい

 まず何よりも感じたのは、「お金があると演出いろいろできるんだな~」というところ。まあそもそも、演奏しなきゃいけないバンドやダンスしなきゃいけないアイドルに比べて、シンガーソングライターっていう形態がパフォーマンスの自由度高いのもあるでしょうが。  最初の数曲はシンプルに強い曲が続き、アイネクライネあたりから背景映像でも魅了し、  しっとりした曲を挟んでからの『amen』『Paper flower』『Undercover』の大迫力のパフォーマンス。この3曲が個人的にこのライブで一番刺さった部分でした。Undercoverが特に。あの演出は凄い。  その後も『アリス』『ピースサイン』と目も耳も惹きつけて離さない。そして本編ラストの『Lemon』まで、見事な流れでした。

MCが最高

 アンコール明けでちょっと長めのMC。  徳島での思い出トークということで、もう徳島県民しかわからないネタが次々飛び出す。駅前にロフトとスタバ、数年前まで一店もなかったセブンイレブン、そしてスーパーセブンの話までw  別に私は徳島に住んでたことはないんですが、毎夏徳島に行ってるので8割くらいはこのあるあるがわかって、それだけで恵まれてるなあと思いました。  正直このMCを生で聞けただけでもわざわざ徳島まで足を運んだ甲斐があったと思いました。あの徳島の話をする時の温度だけは他の会場では絶対に味わえないものだと思いましたし。

物販の規模が凄い

 ちょっとライブの感想から離れますが、物販の凄さもちょっとびっくりしました。あれどう考えても一日で間違いなく何千万とか売り上げてるわけで、恐ろしい。  朝11時に物販開始というアナウンスがあったにも拘わらず、ツイ検索すると8時頃には200人並んでいたらしく。  私自身はそもそも先行で向かう気はあんまりなくて、開演2時間前くらいに行けばいいかなと思っていたのですが、それでは何も買えない気がしてきて朝10時に向かいました。それでも大行列。結局買えたのは12時過ぎてからでした。  ただスタッフ側もそのあたりは想定していたようで、12時になっても売り切れの商品は全く出ていませんでした。『音楽隊』の頃は普通に売り切れ続出だったので、需給予測の精度が上がっていたのか、単に早く行ったからか。  購入までのフローの素晴らしさはさすがビッグアーティスト……という感じでした。クレジットカードどころか電子マネーも使えるという。スタッフの多さも含めて洗練されすぎて驚きました。  ちなみに私が買ったのはTシャツ・パーカー・フーディー・タオル・ラバーバンド。買いすぎ。ただリュックはさすがに躊躇いました。グッズは自分で使うものしか買わない、というポリシーがあるので。タブレットPCが入るポケットありますとかそういう実用面のアナウンスがあったら買ってたかもしれないw  夕方ごろには売り切れてたのかよくわかりませんが、終演後もまだグッズ販売が続いていたので、狩りつくされるようなことはどうやらなかったのでしょう。

徳島県のスター

 自分が買えた後の12時過ぎ、帰りに写真を撮ったのですが、
20190119_121910_HDR  もう何よりも徳島にこんなに人がいたのかという感想を抱きました。  というか、チケットの有無に関わらず徳島市の中高生全員来てたんじゃないですかね。10代・20代のヒーロー的なアーティストが徳島でツアー初日を迎えることなんて他にないでしょうし。自分だって高校生の頃に徳島に住んでてこんな人がいたらそうしてると思う。  ライブの行き帰りの道路、夜に寄ったファミレス、帰りの空港、もう至るところで米津パーカー、米津リュック、緑色のショッピングバッグを目にする。  阿波踊り・マチアソビと並んで徳島三大イベントを名乗っても良いのではないかという、そんな雰囲気でした。むしろ今後は会場に屋台とか出して徳島に経済効果どんどん与えてほしい。  ……そうなるとツアーじゃなくて徳島限定のイベントになるから倍率も飛行機もめちゃくちゃになりそうですが。  でも、チャットモンチーがいなくなった今、『こなそんフェス』的なものを徳島でやる役割を担えるのももう米津さんしかいないわけで、ボカロ出身のアーティスト全部集めたフェスとか徳島でやってくれても良いんじゃないかなあ……という夢。  というか、もうあのワンマンの熱狂を見ちゃうと、nexUsに米津玄師なんてのは絶対にあり得ない幻想なのだと思い知らされたので、ボカロ世代を殺す共演はもうそういうレベルでしか望めない……。

ポップを追求して、最高点を叩いたセトリ

 2014年、『リビングデッド・ユース』が投稿された時、ニコニコで「徳島県最後の希望」って赤文字で書かれてたのが今でも印象に残っているんですが、  それから5年経って、もう徳島どころか邦楽最後の希望になってしまいました。さすがにこの未来を真面目に予想していた人はいないのではないでしょうか。  そんな5年前、ニコニコ/インターネット発のアーティストがシーンの覇者になることを期待していた人たちが、ハチ~diorama時代に語っていた、  例えば「音楽理論を無視した独特なアレンジ」「不協和音を平気で放り込みながら成立させるバランス感覚」「高速ボカロックをそのまま持ち込んだ中毒性」とか、  そういった感想を、今回のワンマンで披露された曲たちに当てはめることはできないと思います。  強いて言えばFlamingoがそうかもしれませんが、『羅刹と躯』のような危なっかしさは完全に鳴りを潜めています。  3年前の『音楽隊』の時は『ゴーゴー幽霊船』、さらにまさかの『パンダヒーロー』まであったのですが、今回はもう見事にBremen以降の曲で構成されていました。YANKEE以前の曲は『アイネクライネ』だけ。  それは良い悪いという話では決してなくて、昔のハチさんの音楽が聴きたければ昔のCDを引っ張ってくればいいし、そういうものを望む必要はないと思います。  だからまあ……ぶっちゃけると、米津さんのライブ、今後は自分は行かなくてもいいかなという気もしています。それは良し悪しではなく個人の趣向として。  ヒトリエのライブに、毎回は行かなくなったものの1年に1回くらい行くというのとは、ちょっと事情が違うんですよね。米津さんは明らかに1年ごとに進化していて、進化するごとにファンが増えているという部分で。  wowakaさんは、まあこういう言い方はいろいろ反感を招きそうですけど、ワールズエンド・ダンスホールより有名な曲はヒトリエにはないじゃないですか。今でも。だから昔の曲を期待してしまうし、新曲にああいう路線を望みたいとも思ってしまうけれど、  米津さんに関しては、Twitterで一部のファンが何と喚こうと、現在の米津玄師のワンマンライブに望まれるものとしては初日のセットリストがたぶん最高値だと思うし、2日目では『ゴーゴー幽霊船』が入ったらしくてめちゃくちゃ悔しいんですけど、『ゴーゴー幽霊船』と『TEENAGE RIOT』だったら後者の方が望まれてるだろうと。  で、米津さんは、そちらを満足させるという、固定ファンを相手にするより遥かに難しい方向へ2019年も進むという意思表示を、2019年初、そして紅白後初のワンマンであるツアー初日にあえてしてみせたのではないでしょうか。  それを自分は支持したいし応援したい、だから今年の新曲も楽しみではあるんですけど、  たぶん私みたいな捻くれた性格と趣味を持った人間が、今後の新曲について「米津さんの曲で過去最高だ!」と思うことはもう一生ないだろうなとも思うわけです。たぶんですけどね。  そういうのも含めて、ただ米津玄師の現在の一つの到達点であり完成形みたいなワンマンライブに立ち会えたのはとてもよかったと思います。これで下手にviviとかぶち込まれてたら未練が残ったのでw  それでも自分が10代を捧げたアーティストの一人として、今後も追いかけ続けたいし、たぶん一生聴き続けていくんだろうなと思います。それはもう、たとえこれからどんなに音楽性が変わったとしても。 ...

comment  0
favorite  2